水無瀬三吟百韻(読み)みなせさんぎんひゃくいん

精選版 日本国語大辞典 「水無瀬三吟百韻」の意味・読み・例文・類語

みなせさんぎんひゃくいんみなせサンギンヒャクヰン【水無瀬三吟百韻】

  1. 連歌集。一巻宗祇(そうぎ)肖柏(しょうはく)宗長(そうちょう)が長享二年(一四八八)後鳥羽院の御廟法楽として水無瀬神宮奉納したもの。賦物(ふしもの)何人(なにひと)。洗練され精妙を尽くし格調高く、正風連歌の典型として重んじられる。長享二年正月二十二日水無瀬三吟百韻

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改訂新版 世界大百科事典 「水無瀬三吟百韻」の意味・わかりやすい解説

水無瀬三吟百韻 (みなせさんぎんひゃくいん)

室町時代の連歌。1巻。後鳥羽院の水無瀬の廟に奉納するために,宗祇とその高弟肖柏宗長連衆(れんじゆ)として,1488年(長享2)正月22日の院の月忌に山城国山崎で張行された〈賦何人連歌(ふすなにひとれんが)〉の通称。宗祇の発句〈雪ながら山もとかすむ夕かな〉および宗長の挙句〈人をおしなべみちぞただしき〉は,それぞれ《新古今和歌集》所収の院の〈見わたせば山もと霞む水無瀬河夕は秋となに思ひけむ〉(巻一),〈おく山のおどろがしたもふみわけてみちある代ぞと人に知らせむ〉(巻十七)を本歌とする。脇句〈行く水とほく梅にほふ里〉(肖柏),第三〈川かぜに一むら柳春みえて〉(宗長)以下,一巻の展開や式目の運び方に円熟期の宗祇のゆきとどいた捌きがみられ,のちに昌休宗養の《連歌天水抄》をはじめ,連歌百韻の規範として尊重された。宗長の自筆本が伝存する。同じ連衆により,3年後の《湯山(ゆのやま)三吟百韻》がある。
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百科事典マイペディア 「水無瀬三吟百韻」の意味・わかりやすい解説

水無瀬三吟百韻【みなせさんぎんひゃくいん】

室町時代の百韻連歌。1488年成立。宗祇とその高弟,肖柏宗長の3人が水無瀬の後鳥羽院御影(みえい)堂(水無瀬神宮)に奉納した連歌。作者当代の代表的連歌師たちで,後世百韻連歌の模範とされた。同じ連衆による,3年後の《湯山(ゆのやま)三吟百韻》がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水無瀬三吟百韻」の意味・わかりやすい解説

水無瀬三吟百韻
みなせさんぎんひゃくいん

室町時代の連歌。長享2 (1488) 年1月に,後鳥羽天皇を祀る水無瀬神宮に奉納するため,宗祇 (そうぎ) が弟子の肖柏宗長と3人で詠んだ何人 (なにひと) 百韻。発句は宗祇の「雪ながら山本かすむ夕べかな」で,後鳥羽院の「見渡せば山本かすむ水無瀬川夕は秋となに思ひけむ」の本歌取り。脇句「行く水とほく梅にほふさと」 (肖柏) ,第三「川風に一むら柳春見えて」 (宗長) 。佳句が多く,式目上の運び方の点でも模範的なものとされ,同じ3人の『湯山三吟百韻』とともに完成期の連歌の代表的百韻として有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水無瀬三吟百韻」の意味・わかりやすい解説

水無瀬三吟百韻
みなせさんぎんひゃくいん

連歌百韻。1488年(長享2)1月22日張行。宗祇(そうぎ)、肖柏(しょうはく)、宗長による三吟。22日は後鳥羽院(ごとばいん)の月忌で、後鳥羽院の水無瀬の廟(びょう)に奉納。張行場所には諸説あるが、発句に「雪ながら山もとかすむ夕かな」(宗祇)と水無瀬の廟からの眼前の眺望を詠んでおり、山崎(京都府大山崎町)あたりかと思われる。『湯山(ゆのやま)三吟』とともにもっとも規範的な作品とされ、昌休(しょうきゅう)、宗養の『連歌天水抄』には、その表八句の句さばきの巧妙さが解説されている。

[島津忠夫]

『島津忠夫校注『新潮日本古典集成 連歌集』(1979・新潮社)』

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旺文社日本史事典 三訂版 「水無瀬三吟百韻」の解説

水無瀬三吟百韻
みなせさんぎんひゃくいん

室町後期,宗祇 (そうぎ) ・肖柏・宗長3人の詠んだ百韻の連歌
1488年後鳥羽天皇を祭る水無瀬宮(大阪府島本町)に奉詠した百句の連歌。その描き出す世界は清澄・温雅なうちにも気品をもち,連歌の模範とされる。

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