水煙(読み)スイエン

デジタル大辞泉 「水煙」の意味・読み・例文・類語

すい‐えん【水煙/水×烟】

みずけむり。
塔の九輪くりんの上にある火炎状の装飾金具。火事連想を避け、同時に水難をおさえる意味もこめて名づけたといわれる。
中国で、タバコをのむときに使った道具。煙を水に通してのむ。水ギセル。
[類語]しぶき水しぶき飛沫水沫水煙みずけむり水柱

みず‐けむり〔みづ‐〕【水煙】

水面に立ちのぼる霧。「湖面水煙が立ちこめる」
水が細かく飛び散って煙のように見えるしぶき。飛沫ひまつ。すいえん。「滝つぼから水煙が立つ」
[類語]しぶき水しぶき飛沫水沫水煙すいえん水柱

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精選版 日本国語大辞典 「水煙」の意味・読み・例文・類語

すい‐えん【水煙・水烟】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 水がこまかに飛び散って煙のように見えるもの。みずけむり。みずしぶき。もや。
    1. [初出の実例]「嵆宅晴を迎へて庭月暗し 陸池日を逐うて水煙深し〈具平親王〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)上)
    2. [その他の文献]〔梁簡文帝‐登烽火楼詩〕
  3. ( 形が火に似ているのを忌み、同時に火を調伏(ちょうぶく)する縁起からいう ) 仏語。塔の九輪(くりん)の上部にある火焔(かえん)形の装飾。
    1. 水煙<b>②</b>〈奈良県薬師寺東塔〉
      水煙〈奈良県薬師寺東塔〉
    2. [初出の実例]「上火珠者、最上金宝珠、我俗忌憚称一レ火故呼為水円」(出典:寂照堂谷響集(1689)一)
  4. 中国で、タバコをのむときに用いる器具。煙を水に通してのむもの。

みず‐けぶりみづ‥【水煙】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「みずけむり」とも )
  2. 水面にたちこめる霧。水蒸気水気
    1. [初出の実例]「沢辺でも芹やきするか水烟(ケフリ)〈作者不知〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)五)
  3. 水が四方に細かくとび散って煙のようにみえるもの。
    1. [初出の実例]「水けふりたえず立しは此山の神にたむけか常香の滝」(出典:狂歌・銀葉夷歌集(1679)九)

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普及版 字通 「水煙」の読み・字形・画数・意味

【水煙】すいえん

水上のもや。唐・陳羽〔呉城覧古〕詩 王の國、水し 香徑人無くして、紅なり 春色、歌の地をれむに似たり 年年先づ發(ひら)く、娃(くわんあ)宮

字通「水」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「水煙」の意味・わかりやすい解説

水煙【すいえん】

の九輪の上につける飾り。実際は火炎をかたどったものだが,火を避けるという意味で工匠がこう呼んだものといわれる。天人の舞い降りる姿を表した薬師寺の水煙は有名
→関連項目相輪

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水煙」の意味・わかりやすい解説

水煙
すいえん

相輪

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世界大百科事典(旧版)内の水煙の言及

【相輪】より

…下から方台状の露盤(ろばん),倒椀形の伏(覆)鉢(ふくばち),ついで請(受)花(うけばな)と重ね,柱となる刹管(さつかん)を立てて宝輪を九つとりつける(九輪)。さらに上に,透彫の水煙(すいえん)4枚を放射状に配し,その上に竜車(りゆうしや),最上端部に宝珠(ほうしゆ)をおく。日本の相輪の全長は,塔総高の3分の1から4分の1を占める長大なものが多い。…

※「水煙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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