翻訳|hydrogen ion
水素の陽イオンH+をこのようによぶ。水素原子の核外電子は1個しかないので、それを失ったH+は水素の原子核すなわちプロトンである。これは大きさが1フェムトメートル(1000兆分の1メートル、10-15m)程度であるから、通常の原子の大きさの程度0.1ナノメートル(100億分の1メートル、10-10mすなわち1Å)と比べるときわめて小さい。したがって、電荷密度がきわめて大きく、ほかのイオンないしは原子を強く分極させる傾向があり、ほかの原子と結合しやすく、自由イオンとしての存在は気体でしかみられない。水溶液中でのいわゆる水素イオンはH(H2O)n+であって、nは4程度、すなわちH9O4+であるとされている。このものの基本はオキソニウムイオンH3O+であって、これに3分子の水が水素結合でつながったものである。通常これらを略して水素イオンといっている。また水素が電子1個を受け入れて、陰イオンH-となるときは水素化物イオンという。
[中原勝儼]
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