水素イオン(読み)すいそイオン(英語表記)hydrogen ion

翻訳|hydrogen ion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水素原子が1個の核外電子を失い,1価の陽イオンとなったもので,陽子 (プロトン) に等しい。酸のような電離性の水素を含む物質を水に溶かすと,水素イオンを生じる。また陽イオンの加水分解によっても,溶液中に水素イオンが放出される。水中では厳密にはプロトンとして存在するのではなく,水が配位した H3O+ のようなイオンとして存在するといわれる。純水中の水素イオンの濃度は1 l あたり 10-7 グラムイオン (25℃) で,水酸イオン濃度に等しい。水素イオンの濃度の逆数の常用対数が pHである。 (→水素イオン濃度 )

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水素の陽イオンH+をこのようによぶ。水素原子の核外電子は1個しかないので、それを失ったH+は水素の原子核すなわちプロトンである。これは大きさが1フェムトメートル(1000兆分の1メートル、10-15m)程度であるから、通常の原子の大きさの程度0.1ナノメートル(100億分の1メートル、10-10mすなわち1Å)と比べるときわめて小さい。したがって、電荷密度がきわめて大きく、ほかのイオンないしは原子を強く分極させる傾向があり、ほかの原子と結合しやすく、自由イオンとしての存在は気体でしかみられない。水溶液中でのいわゆる水素イオンはH(H2O)n+であって、nは4程度、すなわちH9O4+であるとされている。このものの基本はオキソニウムイオンH3O+であって、これに3分子の水が水素結合でつながったものである。通常これらを略して水素イオンといっている。また水素が電子1個を受け入れて、陰イオンH-となるときは水素化物イオンという。

[中原勝儼]


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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (イオンはIon) 正一価の水素原子から成る陽イオン。化合物が酸性を示すもとになるもので、含まれる数が多いほど強い酸となる。記号はH+
※子供の科学‐大正一五年(1926)一月号・ラヂオ真空管の発明発達の経路〈小田孝一〉「電解液中の水素イオンと等量の電荷を持つことを主張しました」

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