20世紀日本人名事典 「沖野 岩三郎」の解説
沖野 岩三郎
オキノ イワサブロウ
- 生年
- 明治9年1月5日(1876年)
- 没年
- 昭和31(1956)年1月31日
- 出生地
- 和歌山県日高郡寒川村
- 学歴〔年〕
- 和歌山師範卒,明治学院神学科〔明治40年〕卒
- 経歴
- 役場の書記、寺の小僧、山林労働者などの職種を経て、明治31年小学校教師となる。35年受洗。37年上京し明治学院神学科に入学。40年日本基督教会新宮教会牧師となる。43年新宮で大逆事件にまきこまれ、危うく連座を免れる。この事件が宿命観の核となり、被告とその家族の救援活動に奔走。事件の真相を伝える秘密伝道を続けた。大正7年大逆事件を宿命として把えた小説「宿命」を発表。その後上京して芝三田統一基督教会牧師となるが、3年後牧師をやめ、以後文筆活動に専念。小説集に「煉瓦の雨」「渾沌」「生れざりせば」、評論に「宿命論者のことば」、童話に「山六爺さん」「父恋し」などがある。また、戦時中は神道研究に没頭し、25年「書き改むべき日本歴史」などを刊行した。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報