機帆船(読み)キハンセン

デジタル大辞泉 「機帆船」の意味・読み・例文・類語

きはん‐せん【機帆船】

発動機と帆を備えた小型の木造船。主に内海・近海の貨物輸送に用いた。

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精選版 日本国語大辞典 「機帆船」の意味・読み・例文・類語

きはん‐せん【機帆船】

  1. 〘 名詞 〙 機械航走と帆走とを併用する船の総称。特に、日本では大正時代に出現した機関装備の近海用小型帆船をいう。明治中期以後、日本型帆船(弁才船)に代わって西洋型帆船(スクーナーブリガンチン等)または、間子船(あいのこぶね)が沿岸航路に主用されていたが、その発展型としてこれが使われ、戦前までは海上トラックとして石炭をはじめ近海の物資輸送に大きな活躍をした。
    1. [初出の実例]「この若者の簡素な空想は、将来自分の機帆船を持って」(出典:潮騒(1954)〈三島由紀夫〉二)

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改訂新版 世界大百科事典 「機帆船」の意味・わかりやすい解説

機帆船 (きはんせん)

昭和10~20年代に瀬戸内海西日本一円の沿岸海運に活躍した木造貨物船。総トン数30~170トン,内燃機関で推進し順風には帆も併用した。この船型は,明治後半,在来の日本型帆船(和船)に代わって沿岸海運の主力となった西洋型縦帆船(スクーナー)またはその影響を強く受けた改良型和船(合の子船)の直接の子孫である。大正期に帆船の補助推進機関として導入された焼玉機関が発達し,それに伴い帆装が簡略になって機帆船が生まれた。昭和30年代,技術革新の波に押されて鋼製内航貨物船にその座をゆずり姿を消した。
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百科事典マイペディア 「機帆船」の意味・わかりやすい解説

機帆船【きはんせん】

補助機関として内燃機関をもつ帆船。ほとんどは200トン以下の木造船。無風時や出入港,河川航行には機走,海上では帆走または帆・機併用。浅い喫水操船が容易なため内海,沿岸の貨物輸送に使われたが,昭和30年代,技術革新の進展により鋼鉄内航貨物船にとって代わられた。
→関連項目和船

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「機帆船」の意味・わかりやすい解説

機帆船
きはんせん

補助の推進機関として内燃機関を備えた小型の帆船。大きさは総トン数200トン前後までで、木造船が多く、1960年代までは沿岸航路の貨物輸送に活躍したが、現在ではほとんど使われなくなっている。機帆船は日本独特の船型で、帆装は小型のものでは1本マストのスループsloopから、大型のものでは2本マストのスクーナーschoonerがあった。機関として焼き玉機関を備えていたが、これは補助で、主体は帆走であり、船舶法では帆船として取り扱われていた。

[森田知治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「機帆船」の意味・わかりやすい解説

機帆船
きはんせん

帆と焼玉機関を併用した 50~100総tの木造小型貨物船。 1964年の政府の内航海運対策により,小型鋼船に取って代られつつあるが,なお多数存在しており,帆船と汽船の中間の役割を果しながら,特に九州,四国,中国などの西日本に普及して,日本の特殊な内航海運の一翼を形成していた。

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