河辺石(読み)こうべいし(その他表記)kobeite-(Y)

日本大百科全書(ニッポニカ) 「河辺石」の意味・わかりやすい解説

河辺石
こうべいし
kobeite-(Y)

酸化鉱物の一つ。1950年(昭和25)に京都大学教授の田久保実太郎(たくぼじつたろう)(18?―1953)らによって、京都府中郡大宮町河邊(こうべ)(現、京丹後(きょうたんご)市大宮町河辺)から記載された新鉱物である。1961年に鉱物学者である益富壽之助(ますとみかずのすけ)(1901―1993)らによって再検討が行われ、主成分としてジルコニウム(Zr)の存在が明らかにされた。現在も検討が続いており、正式な化学式は固定されていない。

 自形は単斜柱状。亜平行集合をなす。柱面上に条線が発達する。花崗岩(かこうがん)質ペグマタイト中に産し、日本でも京都府大宮町の潮第二鉱山(閉山)などから発見されている。共存鉱物はジルコンモナズ石微斜長石石英など。同定は一見黒色柱状結晶の特徴ある亜平行集合、条線の発達、放射能の存在。命名は原産地による。

加藤 昭]


河辺石(データノート)
こうべいしでーたのーと

河辺石
 英名    kobeite-(Y)
 化学式   確定していないが,(ΣY,U)(Fe2+,Mn)2(Ti,Zr,Nb,Ta)4O9が一つの可能性のある式として示される
 少量成分  Ca,Mg,U,Th,Hf
 結晶系   形態的には単斜。メタミクト(非結晶質)状態なので,約1000℃で加熱再結晶させたもののX線粉末回折値の解釈では三方
 硬度    5.5
 比重    4.60
 色     黒
 光沢    亜金属~樹脂
 条痕    暗灰褐
 劈開    無
       (「劈開」の項目参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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