法界節(読み)ほうかいぶし

日本大百科全書(ニッポニカ)「法界節」の解説

法界節
ほうかいぶし

明治の流行歌。作詞・作曲者未詳。江戸末期に長崎へ伝わった明清楽(みんしんがく)は、1870年代の後半から日本各地へ広まった。月琴(げっきん)や明笛(みんてき)は若者の間にもてはやされ、これらを伴奏に新しいが生まれてくる。なかでも「ホウカイ」を囃子詞(はやしことば)とする曲は、1890年代の初めに『法界節』とづけられ、大流行した。2、3人ずつが一組となった若者は、月琴や胡弓(こきゅう)を奏でながら流して歩くので、いつのほどにか法界屋とよばれた。日清戦争を境に、明清楽敵国の音楽だという理由で衰退に向かうが、剣舞をも取り入れた流しは増加する一方で、法界屋は婦女子のあこがれの的となり、流しのあとを追う者が長い列をなしたという。そのため1900年(明治33)のころには、風俗問題や交通妨害が起こってくる。さらに、芸能を愛好する若者が厳しく指弾されたため、法界屋はしだいに姿を消し、『法界節』も運命をともにした。

[倉田喜弘]

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精選版 日本国語大辞典「法界節」の解説

ほうかい‐ぶし ホフカイ‥【法界節】

〘名〙
① 明治二四~二五年(一八九一‐九二)頃流行した俗謡。清楽(しんがく)の「九連環(きゅうれんかん)」に基づいたもので、文句の終わりに「不開(ホーカイ)」という囃子詞を加えるもの。本来は月琴の伴奏。長崎から流行したところから長崎節ともいわれる。法界。
※恋慕ながし(1898)〈小栗風葉〉一〇「殊に九連環節(ホウカイブシ)は今宵が強ち皮切と云ふのでも無い故」
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉中「元祿笠と称へて、を以て作れる編笠に〈略〉ホウカイ節の如きは専ら此笠に浮世の耻を隠すめり」

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百科事典マイペディア「法界節」の解説

法界節【ほうかいぶし】

明治中期の流行歌。幕末以来流行した清楽(しんがく)の《九連環》が変形したもの。歌詞に〈ホーカイ〉のがあるのでこの名が出た。月琴をひきながらこの歌を歌う流しの芸人法界屋も当時多く現れた。

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