泣女(読み)ナキメ

デジタル大辞泉 「泣女」の意味・読み・例文・類語

なき‐め【泣(き)女】

なきおんな」に同じ。

なき‐おんな〔‐をんな〕【泣(き)女】

葬式の際に雇われて大声で泣く役目の女。日本ほか朝鮮中国にもある。なきめ。

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精選版 日本国語大辞典 「泣女」の意味・読み・例文・類語

なき‐おんな‥をんな【泣女】

  1. 〘 名詞 〙 葬式のときに、儀礼的に泣く女性。近親者の場合と雇い泣きとがあり、雇い泣きは、その謝礼の米の量により一升泣き、二升泣きなどの称があった。なきめ。
    1. [初出の実例]「ハテ、貴様は婚礼なれば待女郎、葬礼ならば泣(ナ)き女(ヲンナ)、どちらへ廻っても二役だよ」(出典歌舞伎法懸松成田利剣(1823)大切)

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改訂新版 世界大百科事典 「泣女」の意味・わかりやすい解説

泣女 (なきおんな)

〈なきめ〉ともいい,葬式に雇われて儀礼的に泣く女のこと。布施米の額によって一升泣き,二升泣き,三升泣きの別があった(能登七尾付近)。五島列島奈留島では泣人の多いことを誇りとし,葬儀に列する者もあらんかぎりの大声で哀泣したという。《古事記》《日本書紀》にもキジが泣女になったとあり,古くからの習俗であった。しかし,昭和初年ころではわずかに島や海辺の村,ことに南方に残っていたにすぎない。なお中国や朝鮮などでも葬式に号泣慟哭する儀礼があった。これを哀号(あいごう)(中国),哀号(エーホ)(朝鮮)と称し,親族のほかにやはり哭人(男)や哭婢(女)を雇って泣かせることも行われた。
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百科事典マイペディア 「泣女」の意味・わかりやすい解説

泣女【なきおんな】

葬式の際儀礼的に泣く女。〈なきめ〉とも。日本では伊豆七島沖縄壱岐に残存し,身内の者がそれを務めるが,かつてはこれを職業とする女がみられた。布施米の多寡に応じて一升泣,二升泣というように泣き方を変えた。中国や朝鮮にも同様の儀礼がある。
→関連項目葬制

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世界大百科事典(旧版)内の泣女の言及

【泣女】より

…五島列島の奈留島では泣人の多いことを誇りとし,葬儀に列する者もあらんかぎりの大声で哀泣したという。《古事記》《日本書紀》にもキジが泣女になったとあり,古くからの習俗であった。しかし,昭和初年ころではわずかに島や海辺の村,ことに南方に残っていたにすぎない。…

※「泣女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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