1961年(昭和36)3月に海外経済協力基金法に基づいて設立された全額政府出資の金融機関。略称OECF。東南アジアその他の開発途上地域の産業開発と経済の安定のために必要資金を供給し、経済協力を促進することを目的とした。融資業務は、途上国の政府または政府関係機関に対する融資(直接借款)と、途上国の開発事業に従事する本邦企業に対する融資または出資(一般案件)の二つに分けられ、前者はグラント・エレメント(贈与等価割合)が25%以上のもの、後者は農林水産業における試験的事業や探鉱など日本輸出入銀行(当時)の貸付が困難なものを扱った。融資実績は直接借款がほとんどを占め、またアジア地域に集中的になされているのが特徴的であった。
1995年(平成7)3月、特殊法人等の整理合理化の一環として日本輸出入銀行との統合が閣議決定され、同基金は1999年10月、日本輸出入銀行と統合し、国際協力銀行となった。なお、その後の政策金融改革によって、国際協力銀行の業務のうち「海外経済協力業務及び外務省の無償資金協力業務の一部」は、2008年(平成20)10月に国際協力機構(JICA(ジャイカ))に承継された。また国際協力銀行の業務のうち「国際金融等業務」は、株式会社日本政策金融公庫の一部門となり、さらに2012年4月に日本政策金融公庫から分離され、株式会社国際協力銀行となった。
[秋山憲治]
日本の経済協力機関の一つ。対外的にはThe Overseas Economic Cooperation Fund of Japan(略してOECF)の名称も使われる。東南アジアをはじめ,発展途上国の産業開発,経済安定に寄与するために,1961年3月海外経済協力基金法に基づいて設立された。産業開発等に必要な資金で,日本輸出入銀行(輸銀)や一般の金融機関からの供給が困難なものについて,その供給を行う。資金供給の内容には,(1)外国政府に対する融資(直接借款)と,(2)海外における開発事業に従事する企業等に対する融資または出資(海外投融資)とがある。(1)直接借款は,日本の経済力の強まりに伴う国際的責任の高まりを反映して趨勢的に増加し,97年度の直接借款の事業計画は9100億円である。供与額を地域別にみると,アジア地域が最も多く,全体の約80%を占めている。(2)海外投融資は,1975年7月の輸銀との業務分野調整に基づき,鉱業・農林水産業等の開発・調査事業への融資が中心であり,97年度は300億円の事業計画である。99年10月,日本輸出入銀行と統合して国際協力銀行Japan Bank for International Cooperation(JBIC)となった。
執筆者:結城 隆
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…輸入者が支払を繰り延べて行うことが〈延払いdeferred payment〉といわれるゆえんだが,輸出者(サプライヤー)は輸入者(バイヤー)に対して信用の供与(5年未満が中期,5年以上が長期)を行う。信用供与の方法は輸出者から輸入者に対する直接のサプライヤーズ・クレジットが一般的で,これは,輸出者は輸出信用供与機関(日本輸出入銀行,海外経済協力基金)から資金を借り,輸入者から輸出代金を回収するごとに返済するという方法である。このほか,輸出信用供与機関が輸入者に対して融資する場合(バイヤーズ・クレジット)や,輸入国の金融機関に融資する場合(バンク・ローン)もある。…
※「海外経済協力基金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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