海松(読み)ウミマツ

デジタル大辞泉 「海松」の意味・読み・例文・類語

うみ‐まつ【海松】

海岸に生えている松。
ウミカラマツ別名
海藻「みる」にあてた「海松」の訓読み
「おぼつかな今日はの日か海人あまならば―をだに引かましものを」〈土佐

みる【海松/水松】

ミル科の緑藻干潮線から水深約30メートルの岩上に生え、高さ20~40センチ。体は丸ひも状で二またに分枝を繰り返し、扇状となる。食用。みるめ。みるぶさ。みるな。またみる。 春》「汐満ぬ雫うれしや籠の―/召波
海松色みるいろ」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「海松」の意味・読み・例文・類語

みる【海松・水松】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 緑藻類ミル科の海藻。本州から北海道南部にいたる沿岸の水深一~二〇メートルの波静かな海底の岩上に生える。高さ一〇~三〇センチメートル。全体に鮮緑色を帯びる。葉状体は太い紐状で数回叉状に分岐して扇状をなす。食用・虫下しにする。みるめ。みるぶさ。みるな。またみる。みずすい。《 季語・春‐夏 》
    1. [初出の実例]「綿も無き 布肩衣の 美留(ミル)の如 わわけさがれる 襤褸(かかふ)のみ 肩にうち懸け」(出典:万葉集(8C後)五・八九二)
  3. みるいろ(海松色)」の略。

海松の語誌

( 1 )の挙例「万葉集」は、ミルが細かく枝分かれするさまを破れた衣の形容に用いており、他にも「朝なきに来寄る深海松(ふかみる)夕なぎに来寄る俣海松(またみる)」(三三〇一)のように岸に「寄る」あるいは「なびく」ものとして、その姿が歌われている。
( 2 )平安期に入ると、「見る目」を掛けてミルメの形で詠まれることがほとんどとなり、恋歌常套句として多用された。→海松布(みるめ)


うみ‐まつ【海松】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 海辺の松。
    1. [初出の実例]「うみ松や時ぞともなきかげにゐて何のあやめもいかにわくらむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)澪標)
  3. フトヤギ科の刺胞動物一種。群体は樹枝状で、緻密(ちみつ)な黒い角質の骨軸をもつところから、俗にクロサンゴとも呼ばれる。相模湾以南の暖海に分布し、一〇〇~二〇〇メートルの海底に着生する。〔大和本草(1709)〕
  4. ( 「海松」の訓読み ) 海藻「みる(海松)」の異名
    1. [初出の実例]「おぼつかなけふは子の日か海人ならばうみまつをだにひかましものを」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月二九日)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「海松」の解説

海松 (ミル・ウミマツ)

学名Codium fragile
植物。ミル科の緑藻

海松 (カンショウ)

植物。マツ科の常緑針葉高木。チョウセンマツの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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