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湯立神楽 ゆだてかぐら

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

湯立神楽
ゆだてかぐら

湯立を主にした神楽。清め祓(ばら)いの行事である湯立に神楽の要素が結び付いたもの。貞観(じょうがん)の『儀式』(872以降)には、「御神子先に庭火を廻(まわ)り、湯立の舞を供す」とあり、湯立と神楽の結び付きは古い。また宮中の神楽歌にも湯立の歌があるが、舞歌のみで湯立はなかったらしい。もと伊勢(いせ)の外宮(げくう)に行われた神楽は明治維新に絶えたが、その流れをくむ湯立神楽は湯神楽、湯花神楽、御湯(みゆ)とも、また、おもに霜月(旧暦11月)に行うので霜月神楽などともよばれ、全国的に分布する。神社の拝殿や境内、民家の土間などを舞所とし、湯釜(ゆがま)を据えて湯を沸かし、釜の湯を神々に献湯し参集者にもかけて清めをする。湯立をする者は巫女(みこ)、禰宜(ねぎ)、宮人(みょうど)などで、湯清めの舞や祈祷(きとう)の舞が伴う。長野県下伊那(しもいな)郡の遠山(とおやま)祭や冬祭、愛知県北設楽(きたしたら)郡東栄(とうえい)町、豊根(とよね)村、設楽町津具(つぐ)の花祭などの湯立神楽では、神事の間に猿楽(さるがく)風の仮面の舞が行われる。秋田県横手(よこて)市の保呂羽山(ほろわさん)の霜月神楽は、巫女が湯立をし、湯立の舞を舞い、託宣を行う。[渡辺伸夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の湯立神楽の言及

【神楽】より

…こうして民間の神楽は複雑になり,西角井正慶,本田安次,三隅治雄らによってそれぞれ分類法が示された。それらを統合して考えると,巫女神楽,採物神楽,能神楽,湯立神楽,獅子神楽に大別されよう(図)。 (1)巫女は舞による神懸りで託宣に及ぶもので,天鈿女命にその原型を見るが,今日の巫女舞は静かで優雅な舞が多い。…

【神歌】より

…現在では〈神歌〉を素謡(すうたい)形式で奏して,正式の《翁》の上演に代用することもある。【北川 忠彦】(3)民間の神楽 民間神楽(採物神楽,湯立神楽,獅子神楽など)においても〈神楽歌〉または〈神歌〉その他の名称でうたわれている。伊勢神楽歌として知られるのは,もと伊勢外宮各社の神楽役の人たちが歌っていたもので,御神楽歌や《梁塵秘抄》の歌に次ぐ古いものと思われる。…

【霜月神楽】より

…民俗芸能。神楽の一種で霜月(旧暦11月)に行われる湯立(ゆだて)神楽。伊勢神宮外宮の御師(おし)たちが霜月に行った寄合神楽や奉納神楽が全国に流布したといわれ,伊勢流神楽とも呼ばれる。…

【民俗芸能】より

…中世以降,男巫(おとこみこ)による荒々しい神招ぎと託宣のわざが中国地方や四国地方に残存するが,近世は,出雲の佐太神社などを中心に,記紀神話を能風に演出してみせる仮面舞劇が広く行われるようになり,神招ぎの採物舞はその導き役程度に後退した(佐陀神能)。神楽にはまた湯立(ゆたて)を中心とした湯立神楽がある。祭場の中央で煮立てた湯を神に献じ,神の息吹きのかかったその湯をまわりの人々に浴びせることで魂の再生をはかろうとする。…

【湯立】より

…神前に大釜をすえ湯をわかし,巫女(みこ),神職,修験者などが手に笹をもち,それを釜の熱湯にひたし,自身や周囲の人々にふりかける儀礼。現在ではふりかけられる湯は清め祓いの機能をもつと考えられ,また神楽と結びついた湯立神楽は各地にみられる。古くは湯立のことを問い湯とも呼び,卜占の一種とされていた。…

※「湯立神楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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