満洲(その他表記)Manzhou[中],Manchuria[英]

山川 世界史小辞典 改訂新版 「満洲」の解説

満洲(まんしゅう)
Manzhou[中],Manchuria[英]

中国の東北地方の名称。元来は朝が初め自己の国名や種族名として用いたマンジュ(Manju)の音を表す漢字で,ヨーロッパ人はこれにもとづいて清の故土をマンチュリアといい,日本でも満洲と呼んだ。遼寧(りょうねい),吉林(きつりん),黒竜江の3省の地をさす。古く粛慎(しゅくしん)という民族がいたといわれるが,戦国時代頃から中国人が南満洲に進出し,漢魏時代に郡が置かれた。これに刺激されて貊(ばく)人のなかから扶余(ふよ)高句麗が興り,ついで挹婁(ゆうろう),勿吉(もっきつ)靺鞨(まっかつ)が活動した。高句麗が唐に滅ぼされると,渤海(ぼっかい)が建国して大いに発展したが,10世紀に契丹(きったん)に滅ぼされた。12世紀に女真(じょしん)を建てると契丹を倒し,13世紀にモンゴルが金を滅ぼして満洲を支配した。明が興ると,一時は黒竜江河口まで勢力を伸ばしたが,女真人に対しては建州,海西,野人(やじん)の3大部に分け,多くの衛を設けて間接統治した。17世紀初め清朝が成立し,18世紀には封禁令をしいて漢族の満洲への流入を防いだが,清末には漢族の住地と化し,開発が進んだ。一方,19世紀後半頃からロシアの勢力が進出したが,日露戦争の結果日本が南満洲に進出し,1932年満洲国を建て植民地化した。第二次世界大戦により日本は敗退し,現在中華人民共和国の東北地方として重要な工業地帯となっている。

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改訂新版 世界大百科事典 「満洲」の意味・わかりやすい解説

満洲 (まんしゅう)

日本海軍の測量艦(排水量3510トン)。もとはイタリア,ジェノバの造船所で建造されたロシア軍艦。1924年より海洋観測,水路測量に用いられた。25-26年に同艦艦長を務めた重松良一大佐は,海軍水路部での海洋観測を育てた人。赤道域にまで至る西太平洋の広域の観測に先鞭をつけた。グアム島南西の北緯11°13′,東経142°09.5′での〈満洲〉による重錘測深の結果,9818mを得,満洲海淵と命名。本艦では,音響測深をもいち早く取り入れ,測深を採水測温,底質調査とともに海洋調査の主体とする観測方法を確立し,測量艦,測量船による系統的な観測の基をつくった。
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