古代北東アジア沿海州方面に拠ったツングース系諸族の称。はじめ勿吉(もつきつ)支配のもとにあり,6世紀半ば,勿吉滅亡後,その配下の諸族がこの名で呼ばれた。その一部は高句麗支配下に入り,その滅亡後,698年,高句麗人とともに渤海国を建てるに至った。
日本との関係では《続日本紀》養老4年(720)正月丙子条に,〈渡嶋津軽津司従七位上諸君鞍男等六人を靺鞨国に遣わして,其の風俗を観せしむ〉とあり,この際の〈渡嶋津軽津司〉というものの実態は明らかでないが,阿倍比羅夫の遠征によって開けた本州最北端-北海道西南端連絡航路の確保のため津軽十三湊あたりに駐在した港湾管理者のようなものと考えれば,ここから渡嶋さらには渤海方面とのある種の交渉は考えられないことではない。渤海からの最初の通交は727年(神亀4)であった。多賀城碑にも〈靺鞨国界を去る三千里〉とあって,8世紀には靺鞨はかなり具体的に意識されていた。
執筆者:高橋 富雄
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6世紀後半から中国東北の松花江流域を中心に、北は黒竜江中・下流域、東はウスリー川流域、南は朝鮮半島北部に勢力を振るったツングース系諸族の一派。5世紀後半からこの地方にあった勿吉(もっきつ)人の国が6世紀なかばに崩壊し、その服属諸部が自立したが、自立後も一括してその同音異字で靺鞨とよばれた。いくつかの大部族に分かれ、そのうち粟末(ぞくまつ)、伯咄(はくとつ)、安車骨(あんしゃこつ)、払涅(ふつでつ)、号室(ごうしつ)、白山(はくさん)、黒水(こくすい)の七部族が有力で、靺鞨七部とよばれた。高句麗(こうくり)と争い、粟末、白山の二部は高句麗に服属した。高句麗が唐に滅ぼされた(668)のち、高句麗の復興を唱えて渤海(ぼっかい)国が成立すると(698)、多くの靺鞨人はその支配下に入ったが、黒水部だけは独立の勢力を保持した。
[菊池俊彦]
6世紀半ばから8世紀に中国東北部で有力だったトゥングース系諸部族の連合体。6世紀半ばに勿吉(もっきつ)の崩壊後,その支配下にあった諸部族は自立し,中国ではこれを勿吉と区別するため,同音異字の靺鞨と表記した。靺鞨の勢力は松花江流域の部族を中心に7部に分かれていた。靺鞨は高句麗の遺民とともに698年に渤海(ぼっかい)を建国した。
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