源家長(読み)ミナモトノイエナガ

デジタル大辞泉 「源家長」の意味・読み・例文・類語

みなもと‐の‐いえなが〔‐いへなが〕【源家長】

[?~1234]鎌倉初期の歌人後鳥羽上皇に仕え、和歌所開闔かいこうとなり、新古今集編集に当たった。著「源家長日記」は和歌史の貴重な資料

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精選版 日本国語大辞典 「源家長」の意味・読み・例文・類語

みなもと‐の‐いえなが【源家長】

  1. 鎌倉初期の歌人。後鳥羽上皇に仕え、和歌所開闔(かいこう)となって、「新古今集」編集の事務に当たった。承久の乱後は官職から離れ、定家、家隆らと交際を続けた。「新古今集」以下に二六首ほど入集。「古今集」「新古今集」の書写本もある。その著「源家長日記」は和歌史の貴重な資料である。文暦元年(一二三四)没。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「源家長」の意味・わかりやすい解説

源家長
みなもとのいえなが
(?/1173―1234)

鎌倉時代の歌人。父は蔵人大膳大夫(くろうどだいぜんのだいぶ)時長。母は未詳。歌人の後鳥羽院(ごとばいん)女房下野(しもつけ)(信濃(しなの))は妻。後白河(ごしらかわ)皇子の承仁(しょうにん)親王出仕、その後、1196年(建久7)12月後鳥羽院に出仕。蔵人、兵庫守(かみ)を経て但馬守(たじまのかみ)。1201年(建仁1)7月『新古今集』撰修(せんしゅう)の和歌所(どころ)の開闔(かいこう)となり編集の実務にあたる。「正治(しょうじ)2年(1200)十二月後鳥羽院第二度百首」「建仁(けんにん)元年三月十六日通親(みちちか)家影供歌合(えいくうたあわせ)」「建仁元年三月二十九日新宮撰歌合(せんかあわせ)」、「院第三度百首」を結番した「千五百番歌合」にも参加。それ以降の「元久(げんきゅう)二年(1205)六月元久詩歌合(しいかあわせ)」「建保(けんぽう)六年(1218)道助法親王(どうじょほっしんのう)家五十首」「寛喜(かんき)二年(1230)六月洞院摂政(とういんせっしょう)家百首」などに参加。『家長日記』がある。

[有吉 保]

『石田吉貞・佐津川修二著『源家長日記全註解』(1968・有精堂出版)』

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朝日日本歴史人物事典 「源家長」の解説

源家長

没年:文暦1(1234)
生年:嘉応2頃(1170)
鎌倉時代の歌人。大膳亮時長の子。妻は祝部允仲の娘である後鳥羽院下野。子に歌人の家清,藻璧門院但馬がいる。初め後白河院皇子承仁法親王に仕え,のちに後鳥羽天皇に出仕した。建仁1(1201)年和歌所の開闔(書物の出納などをつかさどる役)を命ぜられ,『新古今集』選集の事務的中心の役割を果たす。正治2(1200)年『院第二度百首』,建仁1(1201)年『千五百番歌合』,貞永1(1232)年に完成をみた『洞院摂政家百首』など多数の歌会,歌合に参加した。平明で落ち着きのある作風。日記に『家長日記』がある。<参考文献>石田吉貞,佐津川修二『源家長日記全注解』

(谷知子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「源家長」の解説

源家長 みなもとの-いえなが

?-1234 鎌倉時代の官吏,歌人。
醍醐(だいご)源氏。但馬守(たじまのかみ)となり,従四位上。後鳥羽(ごとば)上皇に近侍。和歌所の開闔(かいこう)として「新古今和歌集」の編集実務にあたり,その記録を「源家長日記」にのこした。文暦(ぶんりゃく)元年死去。享年は六十余歳。妻は後鳥羽院下野(しもつけ),娘に藻璧門院(そうへきもんいんの)但馬。

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世界大百科事典(旧版)内の源家長の言及

【和歌所】より

歌会始【藤岡 忠美】
[和歌所寄人]
 和歌所の職員は寄人(よりうど),また召人(めしうど)とよばれた。《後撰集》の撰者5人は〈梨壺の五人〉として著名だが,1201年7月,後鳥羽院の院宣によって開設された和歌所には,源家長を開闔(かいこう)(書物の出納・管理等にあたる職)として,当代の有力歌人の藤原良経,源通親,藤原俊成ら14人が寄人に任命された。同年11月にはこの寄人の中から,源通具,藤原定家ら6人が《新古今集》の撰者となっている。…

※「源家長」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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