潮汁(読み)ウシオジル

改訂新版 世界大百科事典 「潮汁」の意味・わかりやすい解説

潮汁 (うしおじる)

単に潮ともいう。鮮度のよい魚貝類を塩味だけで調味した汁で,室町時代以後潮煮と呼ばれていた料理。《四条流庖丁書》には,海水をくんでタイを煮て進めたことに起こった名とし,〈ウシホヲ汲テ先煎(セン)ジテ,サテ魚ヲ入,酒シホ入テ参ラスル也,イツモノ如カツホ入ベシ〉としている。タイ,アマダイ,スズキ,ハモなどの白身の魚やハマグリを用いる。魚は塩をあて,塩がなじんだところで熱湯に通して,湯またはだし汁に入れ,塩と酒で味をととのえる。ウドジュンサイあしらい,吸口に木の芽などを添えるとよい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「潮汁」の意味・わかりやすい解説

潮汁
うしおじる

新鮮な魚貝類を塩味だけで仕立てる吸い物をいう。これに用いる魚類はタイ、スズキ、コチなどの白身魚がよい。関西では夏にはハモをよく用いる。またタイの目玉を最高とする人もいる。魚は骨付きのまま適宜の大きさのぶつ切りにして軽く塩をふり、熱湯でさっと湯がいて水で洗う。洗いすぎると味が抜けるので注意が必要である。下ごしらえができたものを椀(わん)に入れ、煮出し汁、酒、食塩で調味した汁を注ぐ。ハマグリ、カキなどの貝類の場合は、汁を鍋に入れて火にかけ、貝類を入れ、ひと沸かしして用いる。潮汁は濁ってはいけないが、貝類を入れる場合は多少の濁りはやむをえないとされている。香味としては木の芽(サンショウ若芽)、ミョウガミツバ、ウド、ユズなどを加えるが、洋風の香辛料は不適である。

多田鉄之助

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百科事典マイペディア 「潮汁」の意味・わかりやすい解説

潮汁【うしおじる】

単に潮とも。鮮度のよい魚介を入れて塩味だけで調味した吸物。白身魚(タイ,コチ,スズキなど)の頭,あら,骨つきの切身,またハマグリなどを用いる。
→関連項目いちご煮

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「潮汁」の解説

うしおじる【潮汁】

魚介類を水から煮出してとっただし汁を塩で味つけした吸い物。鯛などの頭やあら、はまぐりなどを用い、吸い口には木の芽やゆずを添える。◇「潮煮」ともいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「潮汁」の意味・わかりやすい解説

潮汁
うしおじる

単にうしおともいう。日本料理の代表的な吸い物。たい,はまぐりなどの魚介類を塩味で煮た澄まし汁。

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