火山岩尖(読み)カザンガンセン(その他表記)volcanic spine

デジタル大辞泉 「火山岩尖」の意味・読み・例文・類語

かざん‐がんせん〔クワザン‐〕【火山岩×尖】

粘性のきわめて大きい溶岩地下から押し出され、柱状に突出したもの。溶岩塔溶岩尖塔ベロニーテ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火山岩尖」の意味・わかりやすい解説

火山岩尖
かざんがんせん
volcanic spine

ほとんど固化している溶岩火山火口上に押し上げられ,柱状に固結した岩塔状の地形溶岩岩尖,火山岩塔などといい,かつてはベロニーテとも呼ばれた。1度の活動期(一輪廻)で形成される単成火山に多く見られる火山地形西インド諸島マルティニーク島にあるプレー山では 1902年の噴火後,溶岩が 1日に約 10mの速さでせり上がり,高さ約 276m,直径 100~170mの岩尖を築いたが,その後の噴火で破壊され,火砕流が生じた。日本では 1945年に形成された昭和新山があり,約 300mも隆起した直径約 1kmの元の地盤の上から,さらに約 100mもの岩尖が突き出た。

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改訂新版 世界大百科事典 「火山岩尖」の意味・わかりやすい解説

火山岩尖 (かざんがんせん)
volcanic spine

高粘性のマグマが火道から地表へゆっくりと押し上がり,ほとんど固化した溶岩の柱として火口から突出した岩塔。溶岩岩尖,溶岩尖塔ともいう。1902年プレー火山(マルティニク島)の噴火では高さ276m,直径100~170mの火山岩尖が生じたが,後に崩壊した。45年に生じた昭和新山もこれに近い。火山岩尖の側面には上昇時に生じた擦痕,頂部には既存の地表構成物質,山麓には既存地盤の高まり(たとえば昭和新山の屋根山)がみられることが多い。これらの点から,地形的に類似した差別浸食起源の火山岩頸(山麓に崖錐を伴う)と区別される。
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岩石学辞典 「火山岩尖」の解説

火山岩尖

円柱状の形状をした貫入以前のドーム.ラクロアによってマルチニックのモンペレ(Mont Pelee)で最初に観察され,エィギュイユaiguille)と命名された[Hovey : 1903, Lacroix : 1904].熔岩の粘性が非常に大きいと熔岩が地表に出る前にほとんど固結してしまっても,なを下から力が働くと押し上げられて尖った塔のような形状となる.西インド諸島マルチニク島のペレ火山に出現したのが代表的な例であるが,この火山岩尖は後に崩れてしまい現在はほとんどなくなった.

火山岩尖

粘性の高い熔岩が火道内から火口上に押し上げられて生じる塔状の突起または小火山体.側面には時に上昇の際の擦痕が見られる[片山など : 1970].

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百科事典マイペディア 「火山岩尖」の意味・わかりやすい解説

火山岩尖【かざんがんせん】

粘性のきわめて高い溶岩が地下から押し上げられ,尖塔状に突出した地形。溶岩円頂丘の形成に伴うことが多い。
→関連項目火山

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世界大百科事典(旧版)内の火山岩尖の言及

【火山】より

…これを溶岩円頂丘lava domeという。とくにほとんど固まった状態の溶岩が塔のように突出して噴き出してくる場合には火山岩尖(火山尖塔)volcanic spineという。以上は小規模な単成火山の例である。…

【火山】より

…これを溶岩円頂丘lava domeという。とくにほとんど固まった状態の溶岩が塔のように突出して噴き出してくる場合には火山岩尖(火山尖塔)volcanic spineという。以上は小規模な単成火山の例である。…

※「火山岩尖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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