(読み)ショウ

  • くば・る
  • く・ぶ
  • く・べる
  • やき
  • や・く
  • 漢字項目
  • 焼〔燒〕

精選版 日本国語大辞典の解説

〘自ラ四〙 火の中にはいる。また、燃すために、物などが火の中に入れられる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※浄瑠璃・女殺油地獄(1721)下「紙子着て川へはまらふが、油塗って火にくばらふが、うぬが三昧」
〘他バ下一〙 く・ぶ 〘他バ下二〙 燃やしたり焼いたりするために火の中に入れる。たく。
※竹取(9C末‐10C初)「火の中にうちくべて焼かせ給ふに、めらめらと焼けぬ」
※枕(10C終)一〇八「かまどに豆やくべたる」
〘名〙 (動詞「やく(焼)」の連用形の名詞化)
① 焼くこと。また、その焼いた様子。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕
② 刀などに粘土を塗り、刃の部分の土を除去して火で焼き、熱を強く通してからぬるま湯で冷却して堅くすること。また、その焼いたもの。
※虎寛本狂言・長光(室町末‐近世初)「汝が太刀が定成らば地はだ焼の様躰を覚へて居るか」
※俳諧・市の庵(1694)閏五月廿二日落柿舎乱吟「惣々やめにしたる洗足〈去来〉 打鮠(うちはえ)を焼と鱛と両方に〈洒堂〉」
④ 嫉妬(しっと)すること。ねたむこと。やきもち。
※洒落本・郭中奇譚(1769)船窓笑詰「『これはけしからぬ。エエきいてさへごうはらだ』『きついやきさ』」
[1] 〘他カ五(四)〙
[一] 火・光・薬品などによって、物の状態を変える。
① 火をつけて燃やす。燃焼させる。たく。
※古事記(712)下・歌謡「枯野を 塩に夜岐(ヤキ) 其が余り 琴に作り」
② 燃やして形をなくす。燃やして灰にする。焼失する。
※書紀(720)天智二年二月(北野本訓)「新羅人、百済の南の畔の四の州を焼燔(ヤク)
③ 火にあてたり、くべたりして、つくりあげる。加熱して、食べたり、使用したりできるようにする。
※書紀(720)皇極二年一〇月・歌謡「岩の上に小猿米野倶(ヤク)米だにも食げて通らせ山羊の老翁」
④ 灸をすえる。
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「遂に便ち灸三十余処を炯(ヤケ)り」
⑤ 日光にあてて、変色させる。日光に曝して皮膚を黒くする。
※夏の流れ(1966)〈丸山健二〉五「私は泳ぎ疲れて、〈略〉腹這いになり、背中を焼いた」
⑥ 写真で原版に光をあてて陽画をつくる。
※坑夫(1908)〈夏目漱石〉「顔の先一間四方がぼうとして何だか焼(ヤ)き損なった写真の様に曇ってゐる」
⑦ 薬品で物などをこがす。
※文明東漸史(1884)〈藤田茂吉〉内篇「自ら硝石精を以て額上を焼き、其面貌を変じて」
⑧ 強い、火のついたような刺激を与える。
※夜と霧の隅で(1960)〈北杜夫〉八「粗悪なブランデーの刺戟が彼の喉をやいた」
[二] 心の働かせかたを比喩的にいう。
① 心を悩ます。胸をこがす。
※万葉(8C後)七・一三三六「冬ごもり春の大野を焼く人は焼きたらねかも吾が情熾(やく)
② 種々に気を配る。あれこれめんどうをみる。
※虎寛本狂言・止動方角(室町末‐近世初)「おのれが世話をやかするに依て落まい馬にまで落る」
③ (「妬」とも書く) 嫉妬する。悋気する。
※浮世草子・新竹斎(1687)四「だみたる恋を柴や町、やかるるたねと知ながら、猶もえくゐの燃やすき」
④ うれしがらせを言う。おだてる。江戸前期、上方の遊里で用いた語。
※評判記・剥野老(1662)山中山三郎「うちつけより人をやくこと上手也」
[2] 〘自カ下二〙 ⇒やける(焼)
〘他バ下二〙 ⇒くべる(焼)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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