(読み)にえる

精選版 日本国語大辞典 「煮」の意味・読み・例文・類語

に・える【煮】

〘自ア下一(ヤ下一)〙 に・ゆ 〘自ヤ下二〙
① 水が沸騰し、その中に入れた物に熱が通る。特に調理で、汁が沸きたち、中に入れた食物に味などがしみわたり、食べられるようになる。
古本説話集(1130頃か)二五「むかしよりあみだほとけのちかひにてにゆるものをばすくふとぞしる」
② 水が沸騰して湯になる。
※虎明本狂言・通円(室町末‐近世初)「にゆるちゃの湯は面白や」
③ ひどく腹が立つ。はなはだしく怒る。にえかえる。
※浄瑠璃・心中万年草(1710)中「ゆうべん様はふみころすとてにへさっしゃる」
④ 上を下へと大騒ぎする。ごったがえす。混雑する。にえかえる。
歌舞伎傾城壬生大念仏(1702)中「かぶろ小伝が見へぬと云て、内はにへます」
⑤ 沸騰したかのように、白い泡が立つ。
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春「真白に泡立ち滾(ニ)ゆる汀の岩端から」
⑥ 話がまとまる。結論に達する。
※雑俳・紀玉川(1819‐25)四「正直な者同志談合煮ぬ也」

にや・す【煮】

〘他サ四〙
① よく煮る。また、沸かす。
※玉塵抄(1563)五四茶の湯をわかいてにやすをとをきけば」
② (怒りの気持などを)激しくする。怒らせる。→業(ごう)を煮やす
日葡辞書(1603‐04)「シンイヲ niyasu(ニヤス)〈訳〉立腹する」

にる【煮】

〘他ナ上一〙 水を加えたものを火にかけ、水を沸かして熱をとおす。特に、食物を汁といっしょに火にかけ、調味して、その沸騰した汁でやわらかくして、食べられるようにする。
古事記(712)下「是に大御羹(おおみあつもの)を煮(に)むと為て、其地(そこ)の菘菜(あをな)を採む時に」

に【煮】

〘名〙 (動詞「にる(煮)」の連用形名詞化) 煮ること。煮えること。にえ。
新撰字鏡(898‐901頃)「熬 也 魚完菜等類是也 爾又伊留也」

にえ【煮】

〘名〙 (動詞「にえる(煮)」の連用形の名詞化) にえること。にえたぎること。
人情本・恋の若竹(1833‐39)初「『おお、釜の煮(ニエ)が落ちた』と、いひつつ炭を直して」

に・ゆ【煮】

〘自ヤ下二〙 ⇒にえる(煮)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「煮」の意味・読み・例文・類語

しゃ【煮】[漢字項目]

常用漢字] [音]シャ(慣) [訓]にる にえる にやす
〈シャ〉にる。「煮沸
〈に〉「煮物雑煮ぞうに佃煮つくだに
難読煮凝にこご煮麺にゅうめん

に【煮】

煮ること。煮えること。また、そのもの。にえ。「が足りない」「クリーム

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