熟する(読み)ジュクスル

デジタル大辞泉 「熟する」の意味・読み・例文・類語

じゅく・する【熟する】

[動サ変][文]じゅく・す[サ変]
果実などが十分に実る。うれる。「桃の実が―・する」
ある物事をするのに、ちょうどよい時期になる。また、ととのって十分な状態になる。「機が―・するのを待つ」「革新機運が―・する」
技芸などに慣れてじょうずになる。上達する。熟練する。「タイピングに―・する」「演技が―・する」
ある新奇な言葉多くの人に使われ、一般に通用するようになる。「その言い方はまだ―・してはいない」
[類語]れるれる熟成する熟む成熟未熟不熟早熟晩熟追熟黄熟豊熟完熟爛熟

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「熟する」の意味・読み・例文・類語

じゅく‐・する【熟】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]じゅく・す 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. よく煮える。また、酒などが醸成する。
      1. [初出の実例]「は煮てしゅくしてただれたを云ぞ」(出典:玉塵抄(1563)三)
    2. (果実などが)よくみのる。うれる。じくす。
      1. [初出の実例]「其の瓜只大きに大きに成て、皆微妙き瓜に熟しぬ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)
    3. 物事が十分の状態になる。十分に成熟する。
      1. [初出の実例]「この会のにはにかしこう結縁し申て、道心いとど熟し侍める」(出典:大鏡(12C前)五)
    4. なれる。なれて巧みになる。熟練する。習熟する。熟達する。
      1. [初出の実例]「聞一句一偈等下種或熟或脱」(出典:日蓮遺文‐観心本尊抄(1273))
      2. 「日本は専ら呉音に熟するぞ」(出典:史記抄(1477)一〇)
    5. よくととのう。調和してまとまる。
      1. [初出の実例]「夫大文字は一文字に、人を加えて是大也。二字にじゅくして見る時は、一人と書け」(出典:歌舞妓年代記(1811‐15)一)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]じゅく・す 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 十分に考える。事こまかに考察する。熟考する。
      1. [初出の実例]「言の清濁、上下りまでを熟したる上にて、御書取せ遊ばさうと」(出典:古道大意(1813)上)
    2. 十分に身につける。くわしく知る。熟知する。
      1. [初出の実例]「蓋し読書学問する所以(ゆゑん)は、知識を熟し、徳行を修め、仁善の心を益し」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一一)

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