平均に比して心身の発達が早いこと、また、他者より早くある成長段階に達したり、ある能力を備えるようになった状態。早熟は、個体についても種についても同様に適用される。たとえば、孵化(ふか)後すぐ親のあとを追尾して歩く離巣性の鳥類は、留巣(りゅうそう)性の種に比べて早熟(早成)性であるという。
[藤永 保]
早熟の原因は二つ考えられる。一つは個体的要因であり、発達の頂点に達する速度が体質的に平均より早い人がある。出生後の身長、体重などの伸びを年次ごとにグラフにかくと(発達速度曲線)、初年次はきわめて大きく、以後低下し、青年期に至ってふたたび急激に上昇してまた低下し、しだいにゼロに近づくという特有のパターンを示す。これを個人別にみると、きわめて短期間にこのパターンを達成する場合と、長期を要する場合とがある。前者が早熟、後者が晩熟である。身長の場合、普通は約18年で成長が止まるが、早熟の人は約16年、また晩熟の人は約20年であり、最大4年間くらいの差がある。伸びがゼロに達するまでの同一年齢をとると、前者は後者より体位が勝り大人びているが、成長しきったあとは変わりがなくなる。したがって早熟、晩熟は一過性の現象で、望ましいとも悲観的ともいえない。その特性を心得ての指導が肝心である。第二の要因は社会・文化的なものである。いわゆる先進国では都市化の進んだ地域ほど、青年の性的成熟に達する年齢が早期化することが認められる。これを「発達加速現象」とよぶ。前世代に比べると、成長の頂点に達するまでは、同一年齢では体位も勝り大人びていることがみられる。これは世代的早熟とでもいえよう。特殊な要因としては、スポーツなどの訓練は成長ホルモンの分泌を促し、成熟年齢を延長する効果があるといわれる。
[藤永 保]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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