熟れる(読み)ナレル

デジタル大辞泉 「熟れる」の意味・読み・例文・類語

な・れる【熟れる】

[動ラ下一][文]な・る[ラ下二]《「慣れる」と同語源》
食物がほどよく発酵するなどして、味がよくなる。熟成する。「よく―・れた味噌
腐る。
「魚の―・れたる穿鑿せんさくもなく」〈甲陽軍鑑・三〇〉
[類語]れる熟む熟する熟成する成熟未熟不熟早熟晩熟追熟黄熟豊熟完熟爛熟

う・れる【熟れる】

[動ラ下一][文]う・る[ラ下二]果実穀物などが十分みのる。実がいる。じゅくす。「赤く―・れたトマト
[類語]熟する熟むれる熟成する成熟未熟不熟早熟晩熟追熟黄熟豊熟完熟爛熟

こな・れる【熟れる】

[動ラ下一][文]こな・る[ラ下二]
食べた物が消化される。「胃のぐあいが悪く、食べ物がよく―・れない」
世慣れて円満になる。かどがとれる。「人間が―・れてきた」
物事に熟練する。無理なく思いのままに運用できるようになる。「芸が―・れる」「―・れた文章
調和の取れた状態になる。「じっくり煮込んで―・れた味になった」「地味だが―・れた着こなし」
動きがおさまり、落ち着いた状態になる。「人気新製品当初に比べ価格が―・れてきた」
[補説]俗に、「小慣れる」と書いて、「少し感じよく)慣れる」の意で使われることがある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「熟れる」の意味・読み・例文・類語

こな・れる【熟】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]こな・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 砕けて粉となる。細かく砕ける。
  3. 食物が消化する。〔俳諧・望一千句(1649)〕
    1. [初出の実例]「午時飯のお菜に煮た芋をせしめ込だのが、夫が貶(コナ)れてきたと見えて」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)五)
  4. すっかりまじってしまい、それとわからなくなる。まざって調和する。また、とけこんで不自然でなくなる。
    1. [初出の実例]「人の噂も七十五日、こなれた時分に内会(ねえげえ)で、勝った積りで遣って見ろ」(出典:歌舞伎・夢結蝶鳥追(雪駄直)(1856)三幕返し)
    2. 「『私はあなたを愛します』というのは不自然で、〈略〉これはまだ日本語としてこなれていない」(出典:変痴気論(1971)〈山本夏彦〉省略)
  5. 世間にもまれ、性格や考え方のかどがとれる。世間になれて円満になる。
    1. [初出の実例]「そんな所がこなれいでは本御女郎買とはいはれぬ」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)一)
  6. 技術、知識などをすっかり身につけて思い通りに活用できるようになる。熟練する。
    1. [初出の実例]「附箋から外(そ)れて封筒中央に彼の名を書いてゐる手は、何処かこなれぬといった感じの稚拙さだったので」(出典:ある対位(1926)〈ささきふさ〉四)

う・れる【熟】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]う・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 果実が熟する。実がいる。また比喩的に、成熟する。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「こんなに熟(ウ)れてしまったからだを十日間も独りにしておくのは」(出典:薪能(1964)〈立原正秋〉六)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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