日本上代歌謡の形式の一つ。5・7・7の3句形式をいう。名称の出典は《古事記》景行天皇条・仁徳天皇条。景行天皇条では,〈愛(は)しけやし 吾家(わぎえ)の方(かた)よ 雲居(くもい)起(た)ち来(く)も〉を〈此は片歌なり〉とし,仁徳天皇条では,〈汝(な)が御子や 終(つい)に知らむと 雁(かり)は卵生(こむ)らし〉を〈此は本岐(ほき)歌の片歌なり〉としている。歌謡の形式としては最短のものである。《万葉集》にはすでに見られず,早い時期にすたれてしまったようである。片歌の〈片〉は,対になる片方の意味と一般には理解されている。記紀では問答の一方としてこの形式が用いられ,また片歌が2首合体して5・7・7/5・7・7の旋頭歌(せどうか)形式になったと見られるところからして,《古事記伝》を起点とするこの理解が広く行われている。ただし,唱和する左右両座の片方の意味で,音楽上の呼称であったとする説もある。さらに,片歌2首が合体して旋頭歌ができたのではなく,逆に旋頭歌から独立して片歌ができたとする説もある。
執筆者:佐佐木 幸綱
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一般には、和歌の歌体の一つで、音数が五・七・七という三句形式の歌をいう。しかし『古事記』では、一組の歌謡のうち最後の歌謡の歌い方の名称として用いている。たとえば、数首の歌謡の最後のものを、「汝(な)が御子(みこ)や 遂(つひ)に知らむと 雁(かり)は卵産(こむ)らし 此(こ)は本岐歌(ほきうた)の片歌なり」(仁徳(にんとく)天皇条)のように、歌曲名「本岐歌」とともに称している。ただ、歌い方についての具体的なことについては定説がない。
なお、この三句形式の歌は『古事記』に9首、『日本書紀』に3首みられるほか、平安時代の神楽歌(かぐらうた)にもみいだされ、本来、歌謡の形式であったと考えられる。
[遠藤 宏]
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…画号は建凌岱,孟喬(うきよう),寒葉斎など。片歌(かたうた)や小説では綾足,綾太理と号した。本名を喜多村金吾久域(ひさむら)といい,弘前藩家老の次男として生まれたが,20歳のとき兄嫁との恋が原因で藩を出奔し,武士身分を捨てた。…
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