宮廷の公儀、すなわち正月・白馬(あおうま)・踏歌(とうが)などの節会(せちえ)、大嘗会(だいじょうえ)・新嘗祭(にいなめのまつり)などに用いられる謡物(うたいもの)の総称。民間で謡われる小歌(こうた)(民謡)に対する語。大歌は、古来伝誦(でんしょう)された歌謡・民謡のうち、風調雅正なものが採択された。記紀に曲名などを示して所収された歌謡の大部分は、第一次の大歌と認められ、『古今和歌集』巻20の大歌所御歌(おおうたどころのみうた)、神遊(かみあそび)の歌、東歌(あずまうた)は、第二次の大歌の大要をとったものと思われる。これらはすべて大歌所で教習されたものと思われる。大歌所御歌はさらに、大直毘(おおなおび)の歌、倭舞(やまとまい)の歌、近江(おうみ)ぶり、水茎(みずくき)ぶり、しはつ山ぶりに細別されるが、古態を存する大直毘の歌は次のようである。「新しき年の始めにかくしこそ千年(ちとせ)をかねてたのしきを積(つ)め」。
[橋本不美男]
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…舞楽と管絃とは,舞の有無だけではなく,音楽的にも様式を異にするが,本来舞楽曲であるものを,舞を省いて管絃の様式で演ずることがあり,これを〈管絃舞楽〉という。(2)の神道系祭式芸能には,〈神楽(御神楽(みかぐら))〉,〈東遊(あずまあそび)〉,〈大和(倭)歌―大和(倭)舞〉,〈久米歌―久米舞〉(第2次大戦後奏演されていない),〈大歌(おおうた)―五節舞(ごせちのまい)〉(1955年以後の奏演はない),〈誄歌(るいか)〉の6種目がある(このほか〈吉志舞(きしまい)〉〈田歌〉も《明治撰定譜》にあるが,現在は演じられていない)。これらの多くは,はるか古代から民族固有の芸能として行われていたが,大陸系鑑賞芸能の渡来を契機として組織,制度化された。…
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[中世小歌]
主として室町時代の中期以後に,平安時代や鎌倉時代の催馬楽,今様,宴曲(早歌(そうが))などの歌謡に代わって,広く公家,武士,僧侶,庶民の各階層間に愛唱された自由律の比較的短小詩型の流行歌謡。小歌の名称は,古く981年(天元4)写の《琴歌譜》に,〈自余ノ小歌ハ十一月ノ節ニ同ジ〉とか,《江家次第(ごうけしだい)》1111年(天永2)11月中の丑日,五節帳台の試(こころみ)の条に,〈大哥小哥声ヲ発スルコト恒ノ如シ〉,《雲図抄・裏書》1122年(保安3),五節次第・丑日の条に,〈次イデ大歌歌笛ヲ発シ,小歌相和ス〉とあるように,平安時代の記録に見える〈小歌〉は,本来,新嘗祭または大嘗祭の陰暦11月,中の丑日に行われる〈五節舞(ごせちのまい)〉のとくに帳台の試の際,大歌(人)が発する歌笛の伴奏に対して,出歌(いだしうた)を唱和するところの小歌(女官)という職掌名を指したものである。言い換えれば小歌とは,もともと大歌(おおうた)という男性楽人に唱和すべき演奏者として,女楽を中心とする〈五節舞〉の帳台の試の儀にのみ登場する女流楽人のことで,またその女声合唱団によって演奏される歌曲の称呼でもある。…
…女舞(おんなまい)であり,十二単(ひとえ)に檜扇をもつ5人の婦人によって奏される。その歌を大歌(おおうた)といい,歌詞は〈をとめごが をとめさびすも,からたまを たもとにまきて,をとめさびすも〉。《釈日本紀》その他の伝説によれば,天武天皇が吉野宮で〈こと〉を弾じたとき,天女が降臨して袖を5度翻して舞ったのをかたどった舞という。…
※「大歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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