牛頭天王(読み)ゴズテンノウ

デジタル大辞泉 「牛頭天王」の意味・読み・例文・類語

ごず‐てんのう〔ゴヅテンワウ〕【牛頭天王】

もとインド祇園精舎ぎおんしょうじゃ守護神悪疫を防ぐ神として、日本では京都祇園の八坂神社などに祭られる。

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精選版 日本国語大辞典 「牛頭天王」の意味・読み・例文・類語

ごず‐てんのうゴヅテンワウ【牛頭天王】

  1. 仏語。京都祇園社(八坂神社)や尾張津島大社などの祭神。もと祇園精舎の守護神といわれ、薬師如来、さらに素戔嗚命(すさのおのみこと)垂迹(すいじゃく)という。祇園天神。〔伊呂波字類抄(鎌倉)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「牛頭天王」の意味・わかりやすい解説

牛頭天王 (ごずてんのう)

京都祇園社(八坂神社)の祭神で,本来は祇園精舎の守護神とされるが,日本では行疫神として流布しており,各種の教説がある。たとえば《備後国風土記》では,牛頭天王を武塔神とも呼び素戔嗚(すさのお)尊と同一視し,有名な蘇民将来(そみんしようらい)の説話を伝え,《伊呂波字類抄》では,天竺の北方九相国の王で,沙渇羅竜王の娘と結婚して八王子を生み,8万4654の眷属神をもつとする。また陰陽道の教典の一つである《簠簋(ほき)内伝》では天刑(てんけい)星,吉祥天の王舎城大王,商貴帝,牛頭天王を同一としている。このほか薬宝賢明王とも呼び,本地を薬師如来とする説もあり,安居院(あぐい)の《神道集》では各種の教説を述べ,その根拠を各種偽経に求めている。牛頭天王の形相は,《簠簋内伝》では頂頭に黄牛面を戴き両角を持つ忿怒相とされているが,京都妙法院蔵1350年(正平5・観応1)の神像絵巻では,白牛にまたがり,火焰の光背,3矢,宝珠,宝棒などを持ち三面十二臂の忿怒相で描かれている。
祇園信仰 →天王信仰
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「牛頭天王」の意味・わかりやすい解説

牛頭天王
ごずてんのう

素戔嗚尊(すさのおのみこと)の化身とされ、薬師如来(やくしにょらい)を本地仏とする。武塔天神(むとうてんじん)、あるいは京都八坂(やさか)神社(祇園(ぎおん)社)の祭神として祇園天神ともいう。平安時代から行疫神として崇信され、祇園祭はこの神を祀(まつ)って疫病を鎮める年中行事である。牛頭天王は、インドでは祇園精舎(しょうじゃ)の守護神であったが、わが国では、最初は播磨(はりま)国(兵庫県)明石(あかし)浦に垂迹(すいじゃく)、ついで広峰に移り、その後、京都東山瓜生(うりゅう)山北白川東光寺へ、さらに清和(せいわ)天皇869年(貞観11)東山の感神院に移ったとされ、それが現在の八坂神社である。『蔵王陀羅尼経(ざおうだらにきょう)』には、この神が「癘鬼(れいき)を縛撃(ばくげき)して疫難を禳除(じょうじょ)す」とみえる。また『備後国風土記(びんごのくにふどき)』逸文には、武塔天神が蘇民将来(そみんしょうらい)から受けた一宿一飯の恩に報いるため除難の法を教えたとあり、これにちなみ、社寺では正月に疫病除(よ)けの護符として蘇民将来札が出される。牛王(ごおう)宝印も牛頭天王の護符で、祇園社から出ていた。

[菟田俊彦]

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朝日日本歴史人物事典 「牛頭天王」の解説

牛頭天王

本来はインド祇園精舎の守護神だが,わが国では祇園社(京都市東山区の八坂神社)に祭られ,素戔嗚尊(スサノオノミコト)に同一視されている。祇園社は,貞観18(876)年に藤原基経が疫病を鎮めるために牛頭天王を祭って造営したもので,その祭礼は祇園祭として有名。仏教の牛頭天王がスサノオと習合したのは,牛頭天王が道教系の武塔神と同一視されていたためで,この武塔神は『備後国風土記』によれば,蘇民将来に一夜の宿を借り,その礼として疫病を免れる茅の輪を与えて「自分はスサノオノミコトである」と名乗ったという。人々は疫病を恐れ,その祟りを鎮める魔除けの神として牛頭天王(スサノオノミコト)に対する信仰が広まった。

(西條勉)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「牛頭天王」の解説

牛頭天王
ごずてんのう

祇園社感神院(現,八坂神社)をはじめとする祇園系神社で祭られる祭神。本体は素戔嗚(すさのお)尊とされる。祇園精舎の守護神とされ,密教や陰陽道(おんみょうどう)と習合して日本に伝えられ,疫病や虫害を除去する神格として信仰された。播磨国広峰(現,兵庫県姫路市)に祭られていたが,のち洛東に勧請(かんじょう)された。形像は一定しないが,武装や束帯姿あるいは牛頭をかぶるかたちに造られる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「牛頭天王」の解説

牛頭天王 ごずてんのう

京都八坂神社の祭神。
インドでは祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の守護神であり,日本では疫病よけの神。祇園祭は牛頭天王をまつって疫病をしずめる年中行事。武塔(むとう)天神,祇園天神ともいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「牛頭天王」の意味・わかりやすい解説

牛頭天王
ごずてんのう

インドの祇園精舎の守護神。祇園天王,武塔天神,天王ともいう。スサノオノミコトの本地仏と説かれ,除疫神として,京都八坂神社,愛知津島神社に祀られる。

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世界大百科事典(旧版)内の牛頭天王の言及

【祇園信仰】より

…疫病を鎮める強い力をもつ疫病神として牛頭天王(ごずてんのう)をまつり,消厄除災を祈願する信仰。牛頭天王については天竺(てんじく)(インド)の祇園精舎(ぎおんしようじや)の守護神とする説をはじめ諸説があるが,要するに疫病流行など不慮の災厄にさいなまれつづけた古代の人々が,既往の信仰・伝説とも結び合わせながら信仰の対象として育成した神格である。…

【津島神社】より

…建速須佐之男(たけはやすさのお)命を主神とし大穴牟遅(おおなむち)命を配祀。古くは牛頭天王(ごずてんのう)といわれ,俗に天王さんと称す。全国の津島神社の総本社。…

【天王信仰】より

…牛頭天王(こずてんのう)に対する信仰。《簠簋(ほき)内伝》によると天界にあった天刑星が,地上に降りて,牛頭天王と名のり,南海に赴く。…

【広峰神社】より

…兵庫県姫路市北部の広峰山上に鎮座する。素盞嗚(すさのお)尊,五十猛(いそたける)命を主祭神とし,もと広峰牛頭天王(ごずてんのう)社といわれた。《日本三代実録》貞観8年(866)7月条に,〈播磨国無位速素戔烏神。…

※「牛頭天王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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