コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

祇園信仰 ぎおんしんこう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

祇園信仰
ぎおんしんこう

牛頭天王に対する信仰で,天王信仰の一つ。牛頭天王は,仏教上では八部衆の一つ天部の神で,武塔天神あるいはスサノオノミコト(素戔嗚尊)とされることもあり,疫病をはらう威力をもつと信じられた。平安時代の初期,伝染病が流行したとき,その病をもたらした怨霊をしずめるための御霊会(ごりょうえ)が,牛頭天王を合祀した京都府の八坂神社において執行されたが,これがのちになって祇園祭として知られるようになった。かつて祇園祭は 6月15日に営まれたが,これはその頃が年間を通じて疫病の発生しやすい時期であったからである。牛頭天王は,中世以来各地に勧請されており,兵庫県の広峰天王,愛知県の津島天王(→津島天王祭)が有名である。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

百科事典マイペディアの解説

祇園信仰【ぎおんしんこう】

京都の八坂神社(祇園社)に始まる信仰。平安初期に京師を風靡(ふうび)した御霊(ごりょう)信仰のため,怨霊(おんりょう)のたたりを和らげる呪術(じゅじゅつ)が盛んに行われ,祇園社はその中心となった。
→関連項目博多山笠

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ぎおんしんこう【祇園信仰】

疫病を鎮める強い力をもつ疫病神として牛頭天王(ごずてんのう)をまつり,消厄除災を祈願する信仰。牛頭天王については天竺(てんじく)(インド)の祇園精舎(ぎおんしようじや)の守護神とする説をはじめ諸説があるが,要するに疫病流行など不慮の災厄にさいなまれつづけた古代の人々が,既往の信仰・伝説とも結び合わせながら信仰の対象として育成した神格である。この神は別に〈武塔神(むとうしん)〉の名をもつが,それは《備後国風土記逸文》にみえる〈蘇民将来(そみんしようらい)〉と〈巨旦将来(こたんしようらい)〉という兄弟の伝説にもとづく。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

ぎおんしんこう【祇園信仰】

牛頭天王ごずてんのうおよび素戔嗚尊すさのおのみことに対する信仰。災厄や疫病をもたらす御霊ごりようを慰め遷うつして平安を祈願するもので、主として都市部で盛んに信仰された。祇園祭・天王てんのう祭・蘇民そみん祭などの名で各地で祭りが行われる。また、津島神社の津島祭も同系列の信仰とされる。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

祇園信仰
ぎおんしんこう

疫神(ぎょうえきしん)である牛頭天王(ごずてんのう)に対する信仰で、京都市東山区祇園町北側に所在する八坂(やさか)神社(祇園社)を宗祠(そうし)とする全国的な御霊(ごりょう)信仰。御霊とは死霊の故実用語で、祇園祭はもと祇園御霊会(え)とよばれた。ほかにも同じ信仰による御霊会として、北野御霊会と稲荷(いなり)御霊会とがある。菅公(かんこう)(菅原道真(すがわらのみちざね))の死後、天下にしきりに災禍が続発したので、それを菅霊の祟(たた)りとして始まったのが北野祭である。また生物を犠牲にして人の生命を維持できることから、その食物霊を御霊として祀(まつ)るのが稲荷祭である。
 中古、人々のもっとも畏怖(いふ)したのは疫病であった。彼らは、これを流行させるのは死霊や怨霊(おんりょう)が疫神(えきじん)となるためと信じたのである。素戔嗚尊(すさのおのみこと)をもって疫神を代表させたのは、記紀の神話にみるように、素戔嗚尊が罪を犯して根の国へ追放されたからで、この神を祀ることによって疫病から免れると信じられるようになった。また、疫神は災禍をなす邪神であるとともに、これを除去する祓(はらい)神として相反する二つの神格をもつ。すなわち、疫神は祀られることによって疫病を鎮圧する善神に転化するわけで、素戔嗚尊は諸神のなかでもっとも広く祀られる神となった。しかも彼らは、この神を行疫神として祀るときは、本名を隠して、インドの祇園精舎(しょうじゃ)の守護神である牛頭天王なる外来の神にかえたのである。
 牛頭天王は、869年(貞観11)清和(せいわ)天皇の代、東山の感神院(かんしんいん)(現在の八坂神社)に勧請(かんじょう)されたという。平安時代京都にしばしば流行した疫病の恐怖を背景に、祇園社は朝野の信仰を集めて、やがて全国の祇園信仰の中心となった。この神の祭りが一般に夏に行われるのは、おそらく夏にいちばん疫癘(えきれい)が流行したためであろう。また、一般に祇園信仰は、水辺における禊祓(みそぎはらい)の習俗と関係するところ深く、その祭りも川辺で行われることが多い。[菟田俊彦]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の祇園信仰の言及

【素戔嗚尊】より

…それは文明に汚染されぬ原初的素朴さの個性化ともいうべく,記紀の神々のなかでも独特の魅力を放つものである。そのすぐれて神話的な形象のゆえか,後世の伝承にスサノオがあらわれることはまれだが,祇園(ぎおん)信仰においては,牛頭天王(ごずてんのう)と習合しつつ災厄除去の神としてあがめられており,この神の創造神の側面を伝えた例とみられる。出雲神話英雄神話【阪下 圭八】。…

※「祇園信仰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

祇園信仰の関連キーワード河童(妖怪)津島神社素戔嗚尊キュウリ御霊信仰王子信仰王子神

今日のキーワード

俳句甲子園

1998年から松山市で開かれる全国高等学校俳句選手権大会。高校生が5人1組で句の優劣をディベートで競い合う。チームでの勝敗とは別に、個人の最優秀句も選ぶ。今年は過去最多の41都道府県から121校、15...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

祇園信仰の関連情報