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牛王宝印 ごおうほういん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

牛王宝印
ごおうほういん

社寺から出される厄除けの護符。紙面に社寺名を冠して「…牛王宝印」と書き,その字面に本尊などの種子梵字を押し,神仏を勧請 (かんじょう) したことを表わしたもの。最も広く用いられたのは熊野三山 (本宮,新宮,那智) の熊野牛王であるが,ほかに奈良東大寺二月堂,石清水八幡宮,豊前の彦山,加賀の白山などからも出されている。版刻のものがほとんどであるが,大和金峯山のものは筆書きである。家に張ったり,携帯したりして護符として用いられたが,中世,近世を通じて,この裏面に起請文を書くことが盛行した。現存する最古の牛王宝印は,文永年間 (1264~75) の起請文に用いられた那智山のもの。

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デジタル大辞泉の解説

ごおう‐ほういん〔ゴワウ‐〕【牛王宝印】

神社・寺から出す刷り物の守り札で、「牛王宝印」「牛玉宝印」などと書いてあるもの。災難よけに身につけ、また門口にはる。中世以降は、裏に起請文(きしょうもん)を書く用紙として広く使用された。熊野手向山(たむけやま)八幡宮八坂神社高野山東大寺法隆寺などで出したが、紀州熊野神社で出すものは特に有名。

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百科事典マイペディアの解説

牛王宝印【ごおうほういん】

牛王宝印と記して社寺で出した厄(やく)よけの護符。熊野の牛王は有名で,符札に神使の烏の姿を刻印している。武士の起請文(きしょうもん)の用紙に用いられ,農村では竹にはさんで田畑に立て風よけ,虫よけとした。

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大辞林 第三版の解説

ごおうほういん【牛王宝印】

熊野神社・手向山八幡宮・京都八坂神社・高野山・東大寺・東寺・法隆寺などから出す厄除けの護符。「牛王宝印」「牛王宝命」などと記してある。烏からすを図案化した熊野牛王は有名。裏面は起請文きしようもんを書くのに用いた。牛王。宝印。牛王印。牛王宝命。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

牛王宝印
ごおうほういん

熊野神社、高野山(こうやさん)、八坂(やさか)神社をはじめ、山王、白山、熱田(あつた)、富士浅間(せんげん)など各地の社寺で出す災厄除(よ)けの護符をいう。略して牛王ともいう。熊野のものがもっとも有名で、半紙大の紙に熊野神の御使(おつかい)といわれている八咫烏(やたがらす)のしるしがかかれている。熊野の神は虚言を正すとの信仰から、中世以後の武士は起請文(きしょうもん)を書くのにこの牛王宝印の裏に署した。『吾妻鏡(あづまかがみ)』元暦(げんりゃく)2年(1185)の条に、源義経(よしつね)が大江広元(おおえのひろもと)を通じて兄頼朝(よりとも)に対して異心なきことを、牛王宝印の裏に起請文を書いて差し出したことがみえる。熊野牛王が民間に広く行き渡ったのは熊野比丘尼(びくに)が諸国にこの信仰を宣伝して歩いたことが考えられる。牛王ということばについては諸説があって決めがたい。ウシの胆嚢(たんのう)にできるもので薬品に使われる牛黄(ごおう)というものに由来するという説があるが、牛王と牛黄とはまったく別物だという説もある。『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』など江戸時代の諸書には、牛王はウブスナ(生土)の生の字の下部の一が誤って土の字の上についたものだといい、仏教のほうでは牛頭天王(ごずてんのう)に由来すると説く者もあった。今日では護符として身に帯びたり、門口に貼(は)ったりしている。正月に寺から受けてくる牛王杖(じょう)、牛王串(ぐし)などといわれるものがある。木の棒で、先を割って牛王札が挟んである。和歌山県東牟婁(ひがしむろ)郡那智勝浦(なちかつうら)町・熊野那智大社では、宮司が祝詞(のりと)を奏しながら柳でつくった牛王杖で打盤を激しくたたき、その音で魔よけをする「牛王神璽(しんじ)祭」が行われる。福島県いわき市の北神谷では、田の水口祭(みなくちまつり)にニワトコの木に牛王札を三角に折ったものを挟んで水口に立てるという。ここのもカラスを図案化したものがかかれている。[大藤時彦]

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