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中国の殷代から漢代にかけての,中央に孔のある円形板状の玉器。普通,素文で円形のものを璧と称し,その起源は,新石器時代の環状石斧にもとめられ,最も古いものは竜山文化期(前3000)にみられる。殷代後期には,建築の基礎である版築土の中から出土するところから,建築の基礎に関係した祭祀に使われたと思われる。殷代以後は,漢代にいたるまで,ほとんど変わらない形式が作られ続けた。文様のある璧には,穀物の粒のようなつぶつぶの突起文が一面にある,戦国時代から後漢時代にかけての穀璧,黼文(ほもん)(鉤連雷文)をつけたと解せられる戦国時代の蒲璧(ほへき),一足竜頭の鬼神の文様をつけた西周時代のものから,もとの文様がくずれて渦文になっていった戦国・漢時代のものまである瑑璧(てんへき)がある。変形のものには,璧の周囲に切り込みのある,殷代後期から西周時代後期にかけての圭璧,璧の周囲に凹凸の文様を刻んだ戦国時代の駔璧(そへき),戦国時代から漢時代にかけての,透し彫の竜文などを周囲につけた疏璧(そへき),楕円形の戦国時代の羨璧がある。璧の用途は,一つには祭祀に使用され,神が依るものと考えられた。二つには諸侯の地位の印として,諸侯が行う祭礼,盟誓にあたって,神を依らしめるために与えられたと考えられる。三つには春秋時代ころからは,死者の胸部・頭部に置かれるようになるが,これは神に死者を守ってもらおうとしたものである。
執筆者:杉本 憲司
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中国の玉器の一種で、扁平(へんぺい)環状で中央に小さな孔(あな)があいているものをさす。仰韶(ぎょうしょう)文化期の環状石斧(せきふ)に原形が求められるが、玉製としては竜山文化期に出現する。孔の大きいものをえんといい、さらに孔の大きい肉細の腕輪のようなものを環(かん)という。穀璧(こくへき)、蒲璧(ほへき)というのは璧に刻まれた文様にその名称が由来すると考えられている。駔璧(そへき)は璧の外周に切り込みを入れたもので、疏璧(そへき)は透彫りのある璧のことである。また楕円(だえん)形のものを羨璧(せんへき)という。『周礼(しゅらい)』玉人の注に、諸侯が来朝してきた際に天子に献上したのが璧であるとあるが、これらの璧が古代中国で具体的にどう使用されたのか、なお明らかでない。
[武者 章]
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…前代のガラスにはバリウムを含んだ特別な鉛ガラスが多いが,漢代以後はバリウムを含まない普通の鉛ガラスになる。漢代には装身具のほか,中心に孔のある円板状の璧(へき),棺の中に入れる副葬品などが現れ,また漢代に西域を通じて西方諸国と交易が始まると西洋のガラス(ローマン・グラス)が輸入される。 三国,両晋,南北朝,隋代になると発掘された中国ガラスは少なく,西安の李静訓(隋,608没)の墓から出た緑色鉛ガラス製の小さな壺など数点が知られるにすぎない。…
…後世,瑞玉(ずいぎよく)と呼ばれた玉器,すなわち王が臣下に領土を安堵し,あるいは何かの任務を命ずる際にしるしとして貸与し,また貴族間の贈物に使われた象徴的な玉器も多く作られている。玉製の斧,璧(へき),琮(そう)がそれである。玉製の斧は後にも長く作られ,前3世紀ころまで伝統が続き,前1千年紀末の古典中で琬圭(えんけい)と呼ばれるにいたる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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