心理学的現象と生理学的機構の対応関係を研究する学問であり,19世紀後半の精神物理学や実験心理学の確立とともに始まった。ブントはその主著に〈生理学的心理学〉の名を冠した。今日では生理学的心理学はおおまかに心理生理学と生理心理学に分けられるとする見方がある。前者は不安や恐怖などの心理的現象を皮膚電気反射,脳波,筋電図,心電図などで調べたりするものであり,後者は薬物投与や脳への刺激によって心理的現象がどう変わるかをみるものである。しかし,この区別はそれほど明確なものではない。いずれにしても生理学的心理学はだいたいにおいて心理学的現象を生理学的過程によって説明しようとする立場にたっている。なお,近年確立してきた神経心理学neuropsychologyは言語,認識,行為などの高次の心理機能に対応する脳の生理学的機構を明らかにしようとするものであり,生理学的心理学に属するとされる。
執筆者:児玉 憲典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ブント以来となえられてきた名称で、生理学的方法を用い、生理学的知識に基礎を置く心理学。生理学的方法と知識の進歩によって生理学的心理学の内容も大きく変化し、実験心理学との区別も明確になった。とくに神経生理学における電気生理学的方法(動物の脳に挿入された微小電極による電気刺激)の成果が、現在広く取り入れられている。生理学的方法には、大脳損傷や薬物の投与などの生理学的条件の統制と脳波、皮膚電気反射、神経インパルスimpulseなどの生理学的な指標の記録とが含まれる。生理学的心理学と対照的なのは心理学的生理学で、これは生理学の知識とは直接に関係せず、心理学的事象を説明するために生理学的仮説をつくる(たとえば、ケーラーKöhlerやヘッブHebbの生理的仮説)。生理学的心理学は現在、神経科学と総称される隣接総合科学のなかで行動に重点を置く一部門となっている。
[今井省吾]
『今村護郎編『講座心理学14 生理学的心理学』(1970・東京大学出版会)』
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