などと詠まれる。巻九の歌は大宝元年(七〇一)一〇月、持統・文武の紀伊行幸の際のものである。この辺りは、中世、京都蓮華王院領となっていた(吾妻鏡)が、とくに臨済宗法燈派の本山
由良湊は、由良川河口の
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
和歌山県中部、日高(ひだか)郡にある町。1947年(昭和22)町制施行。1955年白崎(しらさき)、衣奈(えな)の2村と合併。JR紀勢本線(きのくに線)、国道42号が通じる。紀伊水道に面するリアス海岸の由良湾に臨む由良港を中心とする。地方港湾で由良ドック(旧、由良三井造船)が立地する。湾の北部は白馬(しらま)山脈の西端にあたり、石灰岩が露出し、シダリス(ウニの仲間)のとげ化石が含まれ、「門前(もんぜん)の大岩」(国の天然記念物)がみられる。またフズリナ化石の露出する白崎は由良とともに『万葉集』などに詠まれた景勝地で、ガジュマルの茂る衣奈、大引(おおびき)、小引の海岸とともに白崎海岸県立自然公園に指定され、白崎海洋公園もつくられている。衣奈には中生代にできた石灰洞窟(どうくつ)の戸津井鍾乳洞(しょうにゅうどう)がある。沿岸漁業や養殖漁業、ミカン栽培などが行われる。法燈(ほうとう)国師開山の興国寺(こうこくじ)は虚無僧(こむそう)の本山として知られ、国指定重要文化財の絹本著色法燈国師像などを蔵する。面積30.94平方キロメートル、人口5364(2020)。
[小池洋一]
『『由良町誌』全4巻(1985~1995・由良町)』
京都府北部、宮津(みやづ)市の一地区。旧由良村。日本海栗田(くんだ)湾に注ぐ由良川河口左岸に位置し、江戸時代は廻船(かいせん)業が盛んであった。説経節、浄瑠璃(じょうるり)などで知られた山荘太夫(さんしょうだゆう)の伝説地で、安寿(あんじゅ)が潮くみをした浜と伝えられる白砂の海岸は、夏は海水浴場としてにぎわう。京都丹後鉄道宮舞線の丹後(たんご)由良駅がある。
[織田武雄]
兵庫県淡路(あわじ)島の南部、洲本市(すもとし)の一地区。旧由良町。『日本書紀』にみえる由良の門(と)(紀淡海峡)に臨む港として古くから知られた。近世初期には徳島藩の由良城が築かれ、一時淡路の中心となったが、のちその地位を洲本に譲った。由良港は近世は風待ちの避難港としてにぎわった。港の前面には砂州の延びた成(なる)ヶ島があり、瀬戸内海国立公園に属す。
[吉田茂樹]
鳥取県中央部、東伯(とうはく)郡北栄(ほくえい)町の一地区。北栄町の町役場所在地。江戸時代には鳥取藩の廻米(かいまい)積出し港で、幕末の砲台場跡が残されている。付近は、スイカやナガイモの特産地。
[編集部]
和歌山県西部,日高郡の町。人口6508(2010)。町域の大半は紀伊山地西縁の白馬(しらま)山脈の山地で,山が海に迫り,紀伊水道に面してリアス式海岸をなす。中央部を流れる由良川沿いに低地があり,河口部の由良港は天然の良港で,古来,紀伊水道航行の要地とされた。《万葉集》に〈湯羅の崎〉が詠まれ,由良の湊,由良の御崎(みさき)は歌枕としても著名。平安末期には蓮華王院領由良荘が置かれた。鎌倉前期には興国寺(臨済宗法灯派本山)が開創され,開山住持覚心が宋より普化(ふけ)尺八を伝えたことから,虚無僧の本寺ともされた。江戸時代,網代(あじろ)と江奈には紀州藩の二歩口役所が置かれていた。かんきつ類の栽培が盛んで,漁業は一本釣漁やハマチ,ノリなどの養殖が行われる。三井造船由良工場(現,エム・イー・エス由良)も立地し,宅地造成などが進む。町域西端の白崎は美しい石灰岩の岬で,明治以降近年までセメント用に採取されていた門前の北側山麓に中生代ジュラ紀の砂岩の大露出があり,〈門前の大岩〉(天)と称される。紀伊水道に浮かぶ黒島はハマカズラの自生北限地。JR紀勢本線,国道42号線が通じる。
執筆者:上田 雅子
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…人口4万2373(1995)。友ヶ島水道(紀淡海峡)に面する由良とともに古くから港町として発達し,1526年(大永6)安宅(あたぎ)治興が三熊山に洲本城を築いた。85年(天正13)羽柴秀吉によって脇坂安治が3万3000石で封ぜられてからは大阪湾に面する要港として重視され,1609年(慶長14)藤堂高虎,翌10年には池田輝政の三男忠雄が領した。…
…日本海に面し,町域は大山火山灰土に覆われた丘陵地帯,旧潟湖の埋積平野,北条砂丘からなる。中心集落の由良は伯耆街道沿いの宿場町,由良川河口の港町として古くから発展し,江戸時代には鳥取藩の藩倉が置かれた。由良川河口には幕末につくられた反射炉と砲台の跡が残る。…
※「由良」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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