日本大百科全書(ニッポニカ) 「甲西」の意味・わかりやすい解説
甲西(滋賀県)
こうせい
滋賀県中南部、甲賀郡(こうかぐん)にあった旧町名(甲西町(ちょう))。現在は湖南(こなん)市の東部を占める地域。1955年(昭和30)三雲(みくも)、岩根の2村が合併して町制施行。2004年(平成16)石部(いしべ)町と合併、市制を施行して湖南市となる。旧町域は、中央部を野洲(やす)川が横断し、川沿いに幅約2キロメートルの平野があるほかは丘陵で、野洲川に沿ってJR草津線と国道1号が並走し、東北部に国道477号が通じる。名称は、旧甲賀郡の西部にあったことによる。『和名抄(わみょうしょう)』の夏見郷の地で、奈良大仏殿建立の用材切り出し地として知られる。国指定史跡に廃少菩提寺(しょうぼだいじ)石造多宝塔および石仏、国の天然記念物に平松のウツクシマツ自生地があり、善水寺本堂は国宝に指定されている。湖南工業団地(総面積約300万平方メートル)を核として、100社以上の企業が進出、人口増加も著しい。
[高橋誠一]
『『甲西町誌』(1974・甲西町)』
甲西(山梨県)
こうさい
山梨県西部、中巨摩郡(なかこまぐん)にあった旧町名(甲西町(まち))。現在は南アルプス市の南東部を占める一地区。1955年(昭和30)落合、大井、五明(ごめい)、南湖(なんご)の4村が合併して町制施行。2003年(平成15)白根(しらね)、櫛形(くしがた)、若草3町および八田(はった)、芦安(あしやす)2村と合併し、市制施行して南アルプス市となる。旧甲西町地区は、甲府盆地の南西部の櫛形山山麓(さんろく)部の滝沢川扇状地と釜無(かまなし)川右岸の沖積地からなる。山麓部は甲州ハタンキョウ(スモモ)の原産地であり、スモモやモモの栽培が盛んで、東部の水田地帯はトマト、キュウリなどのハウス園芸が主力となっている。水田地帯の一部を造成して1977年に甲西工業団地(77万平方メートル)がつくられ、電機、機械などの工場を誘致して工業も盛んである。南北に国道52号が通っており、南は鰍沢(かじかざわ)、北は韮崎(にらさき)に通じ、この街道に沿って荊沢(ばらざわ)などの商店街がある。
[横田忠夫]