百済観音(読み)クダラカンノン

デジタル大辞泉 「百済観音」の意味・読み・例文・類語

くだら‐かんのん〔‐クワンオン〕【百済観音】

法隆寺大宝蔵殿の観世音菩薩かんぜおんぼさつ立像通称飛鳥時代の作。

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精選版 日本国語大辞典 「百済観音」の意味・読み・例文・類語

くだら‐かんのん‥クヮンオン【百済観音】

  1. 法隆寺の大宝蔵殿にある観世音菩薩立像。木造彩色。細身ですらりとした像容で、飛鳥時代、日本で作られたとみられるが、様式源流作者未詳名称百済から渡来したと考えられていたことによる。国宝

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「百済観音」の意味・わかりやすい解説

百済観音
くだらかんのん

奈良・法隆寺の大宝蔵殿に安置される観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)立像の俗称。「百済」という名は、この像が飛び抜けて長身で、異国的な感じを与え、百済伝来と伝えられたことによるらしいが、いつごろからその名があるのかは、よくわからない。クスノキを材とし、また水瓶(すいびょう)と蓮華座(れんげざ)の材がヒノキで、ともに日本産の木材なので、日本でつくられたものと思われる。元来法隆寺の像ではなく、鎌倉時代の法隆寺の記録『古今目録抄』にはこの像についての記載はなく、江戸時代の『古今一陽集』に初めてみえるところから、この間に他の寺から法隆寺へ移されたものと考えられる。飛鳥(あすか)時代末から白鳳(はくほう)時代の初頭(7世紀なかば)にかけてつくられたものと思われ、飛鳥盛期の止利様(とりよう)の像とは違った立体表現とやわらかさを備えている。また8世紀に入って流行する乾漆像の表面仕上げと同様に、上半身の肉づけを補うために、こくそ漆を盛り上げている点が注目される。

[佐藤昭夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「百済観音」の意味・わかりやすい解説

百済観音
くだらかんのん

法隆寺所蔵の『観世音菩薩立像』の俗称。材はくすのき,着色で高さ 2.1m。扁平で細く,直立で左右均整。光背は木造で,その文様は飛鳥時代のものに似ているが,それを支える支柱竹竿を模して造られ,非常に珍しい。この像の由来は明確ではないが,飛鳥時代後半期,日本で造られたことがわかる。国宝。

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百科事典マイペディア 「百済観音」の意味・わかりやすい解説

百済観音【くだらかんのん】

法隆寺にある観音菩薩立像の俗称。クスノキの一木造,彩色像で,飛鳥時代の作。約八頭身といわれる長身の像で,止利派の像と違って側面からながめて最も美しいのが特徴。異朝から将来したという言伝えからこのように呼ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内の百済観音の言及

【法隆寺】より

…室町時代以降は子院の本堂や表門等が目だつが,西院築垣が版築による築地として古例である(図)。
[彫刻]
 飛鳥時代の造立になる仏像は,金堂の釈迦三尊像,四天王像,夢殿の救世(ぐぜ)観音像,宝物館所蔵の百済観音像と,現在東京国立博物館にある小金銅仏群(四十八体仏)がある。釈迦三尊は聖徳太子とその妃のため,推古31年(623)止利仏師(鞍作止利)が造ったとの銘があり,四天王像は山口大口費(やまぐちのおおくちのあたえ)作の銘があって,以後の四天王像と像容をまったく異にする。…

※「百済観音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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