翻訳|physiognomy
植物群落を外観的にとらえた様相。単なる景観ではなく,植物群落の形・構造を反映したもの。主として植物群落の優占種の生活形によって決められ,植物群落の分類にも用いられる。19世紀初頭,植物地理学者のA.vonフンボルトにより最初に提唱され,そこでは,ヤシ形,バナナ形,サボテン形などの19の植生を特徴づける生活形区分が行われ,それによって特徴づけられる植生が群系formationと呼ばれた。その後,さまざまの生活形分類が試みられ,また群落優占種の生活形以外に,群落の密度,高さ,複雑さ,季節性,色合いなどが相観の決定にかかわっているため,相観の類別やそれに基づく群系分類の統一的体系は現在でも確立していない。
相観は一見してとらえられ,手間がかからないうえに,環境と密接に関係しているので,植物群落の簡単な記載や類別には便利である。世界的にみれば,気候が変われば相観は変わる。東アジアのような湿潤地域での熱帯から寒帯へという温度変化に伴っては,巨大高木を含めて3層の高木層をもち優占種がない常緑の熱帯多雨林,巨大高木層のなくなる亜熱帯多雨林,優占種が目だつ暖温帯常緑広葉樹林(照葉樹林),冷温帯落葉(夏緑)広葉樹林,亜寒帯針葉樹林,寒帯荒原(ツンドラ)へと移行する。熱帯での湿潤から乾燥へという変化に伴っては,熱帯多雨林,乾季に上層木が落葉する半常緑熱帯多雨林,全体が落葉する熱帯季節(雨緑)林,樹木を混じえた熱帯草原(サバンナ),とげ低木の生育する半砂漠,短命草本が出現する砂漠へと移行する。
執筆者:藤田 昇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…人相を調べてその人の気質や性格を明らかにし,さらにたどるべき運命も予測しようとする経験的な知の体系。人相術,観相学(術)などとも言う。この場合,人相には顔貌だけではなく,身体の形状,姿勢,動作なども含まれることがあり,霊魂と身体とは互いに共感・照応するものであって,人の気質や性格は身体の外面に反映されるとする考えが根底にある。英語などの西欧語は,ギリシア語のphysis(自然,本性)とgnōmē(知識,判断)の合成にもとづく。…
…過度の乾燥・低温など環境条件が植物の生育に不適なため,植物被覆が連続せず荒れ果てた土地。植生の相観は優占種の生活形や植物体密度などによって決まるが,植生を相観に基づいて分類した時の単位が群系であり,荒原というのはいくつかの群系をまとめた総称(群系族)の一つで,森林や草原と同列のものである。砂漠・高山・極地方を中心に地球上の陸地面積の約3分の1を占める。…
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[植生の分類]
植生の分類には大別して二つの方法がある。一つは優占種の生活形によって主として決まる相観にもとづくものである。相観は亜寒帯針葉樹林・温帯草原のように一見してとらえられ,環境と密接な関係があるので,この植生分類は簡単で便利である。…
…植生のうちで相観や種組成でなんらかの均質さがあり,生態学的な類型化ができるような植物の集団を指すが,単にある地域に生育する植物の集団という意味で植生と同義に用いられる場合もある。単一の植物からなるものを純群落という。…
…同じ環境にはよく似た生活形をもつ種が多く生育することになるので,それらの植物が集まってつくる景観は環境によってよく似てくる。植物群落が描き出す景観を相観というが,各地を旅行して見る景観の違いは,相観をつくる種の構成の違いによるものであり,環境によってよく似た生活形の異同によるものでもある。熱帯降雨林のように特徴的な例をあげるまでもなく,山地にみる森林,低地の雑木林や草原,海岸や火山などの特殊な植生など,それぞれの環境に対応した生活形の種が集まって作っている相観である。…
※「相観」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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