眉山(まゆやま)(読み)まゆやま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「眉山(まゆやま)」の意味・わかりやすい解説

眉山(まゆやま)
まゆやま

長崎県島原半島(しまばらはんとう)の東部に位置する山。「びざん」とも読まれ、前山(まえやま)ともいう。雲仙(うんぜん)火山の東前方にある山で、側火山的存在である。島原市街地の背後にそびえ、標高819メートル。山頂は天狗山(てんぐやま)、七面山(しちめんざん)の二つに分かれる。1792年(寛政4)4月1日、天狗山の東側で山体の約3分の1が突如として崩壊し、崩壊物は土石流となって城下町の一部を埋没。さらに海中に流れ込んで九十九島(つくもじま)を誕生させ、同時に大津波が発生した。島原側の被害はもちろん、対岸肥後(熊本県)側の田畑、家屋の流失があり、死者あわせて1万数千人。世に「島原大変肥後迷惑(しまばらたいへんひごめいわく)」という。この大崩壊の前触れとして地震が頻発、また約50日前には焼け山溶岩流が押し出される異変があった。大崩壊の原因については地すべり説と爆裂説とがあるが、たび重なる地震による山体の亀裂(きれつ)に水や気泡が岩体深く浸透し地すべり面が形成され、かつ岩盤が気泡によって弱体化されて岩屑(がんせつ)団となり、土石流となって流下したものと思われる。新(しん)山や崩(くえ)山は土石流によってできた小丘であり、秩父(ちちぶ)ヶ浦や霊丘(れいきゅう)公園などは土石流による埋積地である。大崩壊後、眉山の山頂部に残された馬蹄(ばてい)形の急崖(きゅうがい)は、現在も豪雨のたびに岩屑を山麓(さんろく)へ落下させている。これらの砂礫(されき)を流下させる水路島原湾に向かって設けられている。

[石井泰義]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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