安土(あづち)桃山時代の武将。武田の将幸隆(ゆきたか)の三男。11歳のとき人質として甲府に赴き、のち武田信玄(しんげん)の近侍となり、武藤喜兵衛と称した。1575年(天正3)、長兄、次兄が長篠(ながしの)の戦いで戦死したので、家督を継いだ。80年盛んに上野(こうずけ)(群馬県)に進出、ついに沼田領一円を手に入れた。82年の武田氏滅亡後は織田信長に仕えて本領を安堵(あんど)され、本能寺の変後は徳川氏に属した。しかし、家康が沼田城を北条氏直(うじなお)に与えようとしたため、これに反し、上杉景勝(かげかつ)と結んで85年徳川軍を信濃(しなの)(長野県)上田城に迎撃して破った。ついで豊臣(とよとみ)秀吉に臣従したが、のち秀吉の命で家康に属し、長男信之(のぶゆき)を家康に、次男信繁(のぶしげ)(幸村(ゆきむら))を秀吉に出仕させた。関ヶ原の戦いでは西軍に属し、上田城を死守、徳川秀忠(ひでただ)はそのため合戦に遅れてしまった。戦後高野山(こうやさん)に流され、配所で没した。高野山下九度山で再起の機をうかがって武を練っていたというのは講談で、晩年には赦免の沙汰(さた)を待ちこがれて、寂しく暮らしていた。
[小林計一郎]
(唐澤定市)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
安土桃山時代の武将。生没年には1545-1609等の説もある。幸隆(ゆきたか)の三男。武田氏に仕え武藤喜兵衛とも称した。武田勝頼より上野国沼田城一円を与えられる。1582年(天正10)徳川家康に属し,信濃国上田城を安堵されたが,85年家康が沼田を北条氏直に与えようとしたため家康と対立し豊臣秀吉に属す。関ヶ原の戦には次男幸村とともに西軍に荷担し,上田城で徳川秀忠の西上を阻止。戦後高野山に追放された。
執筆者:笹本 正治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
1547~1611.6.4
織豊期の武将。父は幸隆。安房守。信濃国生れ。はじめ武田信玄・同勝頼に仕えたが,武田氏滅亡後徳川家康に属する。1583年(天正11)信濃国上田城を築いて住んだ。85年,家康から上野国沼田城を北条氏直に与えるよう命をうけたが拒否し,以後豊臣秀吉に属した。1600年(慶長5)の関ケ原の戦では西軍に属し,上田城に籠城して徳川秀忠軍の進軍を大いに苦しめた。戦後,長男信之の助命嘆願により紀伊国高野山九度山に蟄居(ちっきょ)した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…人口12万3284(1995)。古代には信濃国府・国分寺が設けられ(跡は史跡),戦国時代に真田昌幸が城を築いて以来,城下町として発展,市街は旧北国脇往還に沿って発達した。明治に入ってからは,小県(ちいさがた)郡,さらに南北佐久を含めた東信濃の行政・経済の中心地になり,商圏は群馬県吾妻郡嬬恋(つまごい)村にまでおよんでいる。…
…信濃国(長野県)上田に藩庁を置いた譜代中藩。この地方出身の土豪真田昌幸が,1584年(天正12)上田に城を築き,翌年豊臣秀吉に随身することによって領主の地位を安定させた。これが上田藩の起りである。…
…おもな敵対勢力の解消によって後北条氏はますます勢力を拡張し,84年厩橋の北条氏や新田金山城の由良氏などを降伏させ,上野の支配権をほぼ確立した。武田氏の武将として沼田に入り,武田氏滅亡後独立した真田昌幸は,後北条氏に対立していた。織田信長を継承した豊臣秀吉は後北条氏の服属上京を促すとともにこの間を調停し,真田氏の沼田城退去を条件にその他の真田領の保全を約束させた。…
…古代の織物〈綺(かんはた)〉を継承したものといわれ,帯として使われてきた。語源は天正(1573‐92)のころ,真田昌幸がこの布で刀のつかを巻いたからという説があるが,定かでない。また,さなはた(狭織)の略ともいわれる。…
…ついで98年(慶長3)北信4郡を領した上杉景勝が会津へ去り,田丸直昌(海津),関一政(飯山)と蔵入地が配置された。上田の真田昌幸領を除いて信濃領主は一変し,兵農分離と石高制への移行が進み,近世的支配体制が急速に形成された。豊臣秀吉没後,家康の手で1600年2月,北信の豊臣勢力は廃棄され森忠政が入封した。…
※「真田昌幸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新