石持(読み)いしもち

精選版 日本国語大辞典 「石持」の意味・読み・例文・類語

いし‐もち【石持】

〘名〙
① (「石首魚」とも書く) 魚「しろぐち(白口)」の異名。頭骨内の内耳にあたる部分にある耳石が大きく目立つところからの名。《季・夏》〔十巻本和名抄(934頃)〕
② 魚「かじか(鰍)」の異名。〔物類称呼(1775)〕
屋根石を支える横木やあら
植物めなもみ(豨薟)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
⑥ 植物「いしもちそう(石持草)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

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デジタル大辞泉 「石持」の意味・読み・例文・類語

こく‐もち【石持/黒餅】

紋所の名。黒い円形で中に文様のないもの。もと矢口の祭りの黒餅をかたどったものといわれる。
定紋をつけるべき所を白抜きにして染め、あとでその中に紋を描き込むことができるようにしたもの。また、その衣服

いし‐もち【石持/石魚】

シログチ別名

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石持」の意味・わかりやすい解説

石持
こくもち

紋付の生地を染めるとき、紋を入れる個所を白く円形に染め抜いたもの。また、その紋付の衣服をいう。既製染めの留袖(とめそで)、喪服などは石持になっていて、客の注文に応じて定紋を描き入れる。これを紋章上絵描きという。輪なしの紋の場合は誂(あつら)え染めにする。

 歌舞伎(かぶき)衣装でいう石持は、身分の低い武家、浪人町人百姓の男女が着るもので、家紋を入れる位置を丸く白抜きにしたままの小袖(こそで)である。地色飛石(とびこく)といわれる栗梅(くりうめ)色や、海老石(えびこく)といわれる海老茶系が多く、『菅原(すがわら)』の「寺子屋」の戸浪(となみ)、『弁慶上使(じょうし)』のおわさが着る留袖がその例。また『妹背山(いもせやま)』のお三輪(みわ)など田舎(いなか)娘が着るときは、萌黄(もえぎ)色の模様入りの振袖が石持になっている。男子でも時代物で、百姓、漁師などが主要な役をする場合は茶系の石持を用い、若い男の場合は浅葱(あさぎ)系の色が多い。

[岡野和子]

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動植物名よみかた辞典 普及版 「石持」の解説

石持 (イシモチ)

植物。モウセンゴケ科の多年草食虫植物,園芸植物イシモチソウ別称

石持 (イシモチ)

植物。キク科の多年草,薬用植物。メナモミの別称

石持 (イシモチ)

動物。ニベ科の海水魚。ニベの別称

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