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硫酸バリウム りゅうさんバリウムbarium sulfate

翻訳|barium sulfate

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

硫酸バリウム
りゅうさんバリウム
barium sulfate

化学式 BaSO4 。白色粉末で無味,無臭。水,エタノール,エーテル,クロロホルムにほとんど溶けず,酸,アルカリにも溶けない。胃液,腸液に溶解せず,消化管から吸収されないので,X線造影剤として消化器その他の撮影に使用される。通常,服用しやすくするため香料,甘味料,懸濁化剤などを加えて内服させる。また注腸することもある。毒性はない。有毒な亜硫酸バリウム,硫化バリウムと混同しないよう注意すべきである (→バリウム中毒 ) 。硫酸バリウム造影剤のほかに,印画紙,人造象牙,セロハンの製造,ゴム,リノリウム,油布,合成樹脂などの充填剤にも使用される。

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百科事典マイペディアの解説

硫酸バリウム【りゅうさんバリウム】

化学式はBaSO4。比重4.49,融点1580℃。無色の結晶。水に不溶。白色顔料,ゴム・紙などの充填(じゅうてん)剤,X線造影剤として使用。天然には重晶石として産。
→関連項目体質顔料

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世界大百科事典 第2版の解説

りゅうさんバリウム【硫酸バリウム barium sulfate】

化学式BaSO4。天然には,重晶石として,セッコウ(硫酸カルシウム)とともに産出する。純粋なものは,バリウム塩の水溶液に硫酸イオンを含む水溶液を加えれば,白色の沈殿として得られる。Ba2+イオンとSO42-イオンとが,ゆがんだ岩塩NaCl型構造をつくっているイオン結晶で,融点は1580℃と高いが,1200℃以上で分解しはじめる。比重4.49(15℃)。水にはきわめて溶けにくく,100gの水への溶解度は0℃で0.115mg,30℃で0.285mg,50℃で0.336mg,100℃で0.41mgにすぎない。

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大辞林 第三版の解説

りゅうさんバリウム【硫酸バリウム】

バリウム塩水溶液に硫酸または硫酸ナトリウムなどを加えると沈殿する白色の結晶性粉末。化学式 BaSO4 水に不溶。天然には重晶石として産する。白色顔料、医療検査の X 線造影剤として用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

硫酸バリウム
りゅうさんばりうむ
barium sulfate

バリウムの硫酸塩。天然には重晶石として産出する。これを粉砕して水簸(すいひ)にかけたものを水簸性硫酸バリウム(バライト粉)、また還元焙焼(ばいしょう)して硫化物とし、その水溶液に硫酸ナトリウムを加えて沈殿させたものを沈降性硫酸バリウムという。天然産のものは通常不純物で着色されているが、純粋なものは無色。沈殿の生成条件によって、コロイド状から比較的大きな結晶までさまざまな形状をとる。水にはほとんど溶けない。空気や熱に対して安定で、硫化水素によっても変色しない。白色顔料としての用途がもっとも多く、硫化亜鉛と混合したものをリトポンという。[鳥居泰男]

顔料としての硫酸バリウム

広く使用されている安定な体質顔料で、沈降性硫酸バリウムとバライト粉(水簸性硫酸バリウム)がある。
(1)沈降性硫酸バリウム 重晶石粉末にコークス、石炭を加え、ロータリーキルン中、700~1000℃で還元焼成し、生成物を水で浸出、硫化バリウム水溶液を得、これにあらかじめ精製した硫酸ナトリウム水溶液を加え、硫酸バリウムを沈殿させる。原料液の濃度、反応温度が粒子の形状、大きさを左右するので、用途に応じ反応条件を設定する。斜方晶系、白色度は非常に高い。濃硫酸、溶融アルカリ以外には不溶。耐光性、耐候性、耐熱性に優れている。屈折率は1.64、バライト粉より隠蔽(いんぺい)力は大きい。体質顔料、塗料、印刷インキ、アート紙、ゴムあるいはプラスチック充填(じゅうてん)剤、蓄電池の極板充填剤、特殊なものとして、レントゲン写真の造影剤に用いられる。
(2)バライト粉 重晶石を選別し、粉砕、水洗、分級し、硫酸あるいは塩酸を加え加熱し、鉄分などの不純物を溶解除去し製品とする。化学的性質は沈降性硫酸バリウムと同じであるが、鉱石を粉砕してつくるため、さらさらした粉末で、比重4.0~4.5、体質顔料中もっとも重く、屈折率は1.63、したがって、あまに油の中では透明となる。塗料用の体質顔料、ゴムやプラスチックの充填剤、特殊な用途として、ゴムなどに充填し放射線遮蔽用にする。乾式粉砕したものは、同じく放射線遮蔽用の壁材となる。[大塚 淳]

医薬用

X線造影剤で、水溶性のバリウム塩または水酸化バリウムに希硫酸または水溶性の硫酸塩を作用させてつくる。白色の粉末で、においや味はない。X線造影用にはとくに精製し、ヒ素を含まないものが用いられる。通常、服用しやすくするために香料や甘味料などを加え、懸濁化剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、アルギン酸ナトリウムを用い、均質な懸濁液として消化管のX線撮影に用いられる。[幸保文治]

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世界大百科事典内の硫酸バリウムの言及

【造影剤】より

…造影剤は,X線発見の翌年の1896年にはシュトラウスH.Straussが次硝酸ビスマス(塩基性硝酸ビスマス)などを用いて消化管造影を試み,1904年にはリーダーH.Riederによって胃X線検査の基礎が完成された。日本では昭和初期にトリウム(Th)系造影剤トロトラストが用いられたこともあるが,放射性物質であるため現在では用いられず,硫酸バリウム,ヨウ素,空気などが用いられている。 造影剤の条件としては,(1)周囲組織とのX線吸収差が大きいこと,(2)毒性がなく,副作用が少ないこと,(3)検査後,排出,吸収が迅速に行われること,(4)経口的に用いる場合は飲みやすいものであること,の4点が求められる。…

【バリウム】より

…バリウムイオンは無色,有毒である。硫酸バリウムは白色できわめて水に溶けにくいから,Ba2+の検出や定量に利用され,白色顔料ともなる。また体内に入っても安全なのでX線の造影剤になる。…

※「硫酸バリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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