充填剤(読み)じゅうてんざい(英語表記)filler

翻訳|filler

精選版 日本国語大辞典 「充填剤」の意味・読み・例文・類語

じゅうてん‐ざい【充填剤】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物質の性質を向上させたり、増量着色などのために添加する化学物質。例えばゴムに対する可塑剤軟化剤プラスチックに対する可塑剤、基剤、石鹸における洗浄促進剤など。〔実用印刷技術(1957)〕
  3. クロマトグラフィーカラムにつめる吸着剤や反応管につめる触媒などをいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「充填剤」の意味・わかりやすい解説

充填剤
じゅうてんざい
filler

ゴムやプラスチックなどを製品化するに際し、製品の品質を向上させたり、品質の多少の低下を犠牲にしても増量によって価格を下げることなどを目的として加える物質をいう。たとえば、加硫度の低い天然や合成のジエンゴムは比較的軟らかい弾性体で、ゴム輪、手袋などに使用されているが、これにカーボンブラックを配合すると、引張りや摩擦に対して強くなり、自動車タイヤやベルトなど重い荷重にも耐える製品が生まれる。フェノール樹脂や尿素樹脂(ユリア樹脂)も樹脂だけでは十分な強度をもたないので、木粉、アスベスト(石綿)、パルプ粉などを加えて、機械的性質、耐熱性などの向上が図られている。ポリ塩化ビニル樹脂に配合される沈降炭酸カルシウムなどは増量用で、価格を安くするために用いられる。しかし床タイルなどでは、ポリ塩化ビニル樹脂100部に対し、これらを300部まで配合し、摩耗にも強い固さになるようにしている。紙にも、紙質を不透明にし、印刷適性を与えると同時に、重量を増すことを目的として、滑石、硫酸バリウムなどが添加される。また、せっけんには浴用(固形)、洗濯用(固形、粉末)、薬用、工業用(固形、ペースト)などがあり、用途にあわせて酸化防止剤、着色料、香料、消毒剤、ラノリンスクワレンスクアレン)などが添加される。グリースには潤滑性能を高めるため、グラファイト石墨、黒鉛)、アスベスト、雲母、亜鉛、酸化亜鉛酸化カルシウム、酸化モリブデンなどの粉末が用いられる。

[蜷川 彰]

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化学辞典 第2版 「充填剤」の解説

充填剤(材)
ジュウテンザイ
filler

プラスチックの強度,実用性,耐久性などを改良したり,特別な性質をもたせたり,価格を安くするために増容,増量をはかるなどの目的で混合される不活性な物質をいう.化学的に不活性,樹脂中への分散が良好なこと,安価なことなどが必要とされる.強化剤としては,木粉,セルロース,布,合成繊維ガラス繊維,ガラス粉など,各種の特性賦与剤としてはマイカ,グラファイト,ある種の可塑剤,二硫化モリブデン,酸化アンチモン,増量剤としては炭酸カルシウム,クレー,けいそう土,亜鉛華,焼きセッコウなどが使用される.ゴムの場合にも充填剤ということばを用いることもあるが,一般には配合剤とよばれ,補強の目的で配合されるもの(補強剤)としては,カーボンブラック,炭酸カルシウムなどがある.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「充填剤」の意味・わかりやすい解説

充填剤
じゅうてんざい

(1) filler ゴムや石鹸の製造に際して,その機能や利用効果に変化を与えないで容量を増すために添加される物質をいう。機能を変化させる他の添加物,たとえば補強剤や起泡剤などと区別されるのが普通である。 (2) packings,packing materials 混合物を分離する手段の一つであるクロマトグラフィーを行う際に,化合物の吸・脱着を行わせる微細な粒子とした無機あるいは有機固体材料。無機充填剤としてシリカゲル,アルミナ,表面処理したシリカゲル,有機充填剤としてセルロースなど。

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