示現流(読み)ジゲンリュウ

デジタル大辞泉 「示現流」の意味・読み・例文・類語

じげん‐りゅう〔‐リウ〕【示現流】

剣道流派の一。江戸初期に薩摩藩の東郷藤兵衛重位しげかた創始飯篠長威斎神道流分派で、薩摩藩士の大半がこれを学んだといわれる。

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精選版 日本国語大辞典 「示現流」の意味・読み・例文・類語

じげん‐りゅう‥リウ【示現流】

  1. 〘 名詞 〙 剣道の流派の一つ。飯篠長威斎の神道流から分かれたもので、江戸初期、島津家の東郷藤兵衛重位が創始。江戸末期、島津斉興はこれを藩の独自のものとし、御流儀示現流と呼び、藩士の大半に学ばせた。〔示現流聞書喫緊録〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「示現流」の意味・わかりやすい解説

示現流
じげんりゅう

近世薩摩(さつま)藩で行われた独特の剣法で、流祖は東郷藤兵衛尉重位(とうごうとうべえのじょうじゅうい/しげかた)(1561―1643)。重位は初め、当時九州地方に広がった丸目蔵人佐(まるめくらんどのすけ)のタイ捨流を学んだが、1588年(天正16)領主島津義久(よしひさ)に従って在京中、寺町鞍馬口(くらまぐち)の天寧寺(てんねいじ)に参禅する機会を得、そこで閑翁善吉和尚(かんおうぜんきつおしょう)(俗名赤坂雅楽助(うたのすけ))に邂逅(かいこう)し、香取神道(かとりしんとう)流系の十瀬与三右衛門長宗(とせよさうえもんながむね)を祖とする天真正自顕(てんしんじょうじけん)流の刀法を伝授された。帰国後、両者の精髄をあわせて、この一流を編み出したという。1604年(慶長9)44歳のとき、藩主家久(いえひさ)に召し出されて兵法師範となり、金剛経文にある示現神通力(じげんじんつうりき)の語をとって流名を示現流と改めた。以来、同藩の御流儀として代々家中に教授し、現在の12代重徳(しげのり)までよく相伝の技法を伝えている。また重位の門人、薬丸刑部左衛門兼陳(やくまるぎょうぶざえもんかねのぶ)(1607―89)は、実戦的な野太刀(のだち)を中心に下士・郷士層に教授し、薬丸流と称した。この流の特徴は、立木(たちき)打ちを中心とする練習方式で、斜の構えから「朝に三千、夕に三千、立木を打て」と教え、強靭(きょうじん)な臂力(ひりょく)を養うとともに、打太刀の的確さを会得させ、「一の太刀を疑わず」、生死を断じ、自他を超越し、活殺を一如とすることを要訣(ようけつ)とした。幕末・維新に活躍した中村半次郎桐野利秋(きりのとしあき))・篠原国幹(しのはらくにもと)・奈良原喜左衛門・有村次左衛門・大山格之助(綱良)らは、この門派の出身である。なお、傍系に、1747年(延享4)日向(ひゅうが)延岡(のべおか)から常陸(ひたち)笠間(かさま)に移封となった牧野家中に伝えられた示現流がある。

[渡邉一郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「示現流」の意味・わかりやすい解説

示現流 (じげんりゅう)

剣術流派の一つ。江戸時代,薩摩(鹿児島県)地方に伝承された。その攻撃一本の実戦性と,丸棒で立木に向かって稽古する〈立木打ち〉の基本技法など,薩摩に保守的に存続した地域性は特異な存在である。流祖は,島津氏の家臣東郷藤兵衛重位(しげたか)(1561-1643)。重位の剣の師は京都天寧寺の禅僧善吉和尚といわれる。善吉は神道流系統の天真正自顕流であったが,重位は修練と思索を重ね〈示現流〉とその名を改めた。薩摩では藩士はもちろん,士分以外の庶民にも示現流を習わせ,幕末の動乱のなかで多くの剣士が輩出し,薩摩示現流はその名を高めた。
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デジタル大辞泉プラス 「示現流」の解説

示現流

剣術の流派のひとつ。天正年間、江戸で神道流系の「自顕流」を学んだ薩摩藩の東郷肥前守重位(しげかた)が、慶長年間、同藩剣術師範となったことをきっかけに、島津家久の肝煎りで「示現流」に改称。薩摩藩の御留流として隆盛を極めた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「示現流」の意味・わかりやすい解説

示現流
じげんりゅう

剣道の一派。薩摩藩医東郷藤兵衛重位 (1561~1643) が,幼少の頃学んだ体捨流と,京都で修業した自顕流をもとに創始したもの。薩摩藩独特の剣風で,三百数十年間栄えた。

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