厚生労働大臣の諮問機関。厚生労働省設置法に基づき、社会保障制度全般について審議・調査して答申する。2001年(平成13)の中央省庁再編に伴い廃止された社会保障制度審議会の後継組織で、人口問題審議会、年金審議会、厚生統計協議会、医療審議会、中央社会福祉審議会、身体障害者福祉審議会、中央児童福祉審議会、医療保険福祉審議会という八つの審議会を統合して誕生した。審議対象はきわめて広く、人口推計から、医療制度、年金改革、介護制度、児童福祉、生活保護、障害者対策、社会保障統計など多岐にわたる。このため社会保障審議会傘下に政令で定めた分科会があるほか、医療、医療保険、年金などの部会や、必要に応じて特別部会などが設けられる。委員は有識者や学識経験者のなかから厚生労働大臣が任命する。委員の定員は30人以内で、任期は2年。
年金制度のあり方、生活保護受給者の受給水準の妥当性、医療機関が受け取る診療報酬の基本方針などについて、定期的に意見や答申を出している。具体的には、総合的な診療を行う医師の養成(2011)、厚生・国民年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針見直し(2014)、確定拠出年金の規制緩和(2014)、介護職員の賃上げ(2014)などについて答申や意見書をまとめた。また税と社会保障の一体改革の一環として、高齢者の医療費引上げや、年金積立金管理運用独立行政法人の組織改革などについても審議している。
[矢野 武 2015年8月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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