神の使い(読み)カミノツカイ

デジタル大辞泉 「神の使い」の意味・読み・例文・類語

かみ‐の‐つかい〔‐つかひ〕【神の使い】

神や神社が召し使うという動物稲荷いなりきつね春日かすがの鹿、八幡の鳩、熊野の烏などの類。つかわしめ。

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精選版 日本国語大辞典 「神の使い」の意味・読み・例文・類語

かみ【神】 の 使(つか)

  1. 神に所属して、神の命令を伝える使いであるといわれる動物。稲荷(いなり)の狐、春日(かすが)の鹿、八幡(はちまん)の鳩など。神のつかわしめ。
    1. [初出の実例]「是の白猪に化(な)れるは、其の神之使者(かみのつかひ)ならむ」(出典古事記(712)中)
  2. キリスト教で、天使のこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神の使い」の意味・わかりやすい解説

神の使い
かみのつかい

神社に祀(まつ)られている祭神の使者と考えられている特定の鳥獣のこと。神のつかわしめ、神のみさきなどともよばれる。神社の縁起で祭神と深いかかわりをもつ動物がとくに神聖とされる。伊勢(いせ)のニワトリ日吉(ひえ)のサル、稲荷(いなり)のキツネ、春日(かすが)や鹿島(かしま)・厳島(いつくしま)のシカ、北野のウシ、大神(みわ)のヘビ、八幡(はちまん)のハトなどは古来よく知られている。これらの動物は、祭神の眷属(けんぞく)や使いとされ、神意を伝えたり吉凶を告げることがあると信じられている。動物を神の使いとする思想は『古事記』中巻の伊服岐(いぶき)の白猪(しろい)伝説や、『日本書紀』景行(けいこう)紀の大蛇(おろち)伝説などにうかがわれるように、かなり古い時代から存した。ただし、キツネやサルやヘビそしてカラスなどは、特定の祭神の使いということとは別に、霊獣、霊鳥として古くから神聖視されてきた動物であり、今日でも広い地域で、それに基づいた信仰や俗信をみることができる。

[佐々木勝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神の使い」の意味・わかりやすい解説

神の使い
かみのつかい

神のみさき,使わしめなどともいい,神が人間に意志を示す際にその媒介の役割を果すものをいう。鳥獣類である場合が多く,たとえば稲荷のきつね,山王のさる,水神のへび,三峰神社のおおかみ,春日神社のしかなどはよく知られている。その他,阿蘇神社のなまず,虚空蔵のあわびなど魚介である例もある。神の使いの鳥類や魚などが現れると何かの予言,予兆だと信じられ,巫女などを通じて神の託宣を聞こうとした。また,人間が神憑りになって神の使いと称する場合も多く,新興宗教の教祖の多くに神の使いとしての自覚が認められる。

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世界大百科事典(旧版)内の神の使いの言及

【天使】より

…その起源は旧約および新約聖書にしばしば登場する〈主(神)の使い〉であり,ヘブライ語ではmal’āḵという。たとえば,アブラハムがその子イサクをいけにえとして献げようとしたときに主の使いが介入し(《創世記》22:11~18),ヤコブは夢で神の使いたちがはしごを上り下りしているのを見(同28:12),モーセは燃える柴の中に現れた主の使いと出会う(《出エジプト記》3:2)。紅海を渡り,荒野を旅するイスラエルの民を導き,守護するのも神の使い(同14:19,23:20)であり,宣教の開始に先立って荒野での試練を終えたイエスのもとに来て仕えたのも神の使いたちであるとされている(《マタイによる福音書》4:11)。…

※「神の使い」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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