神楽といわれる神事芸能のうち,採物(とりもの)神楽や能神楽の系統に使用された仮面。出雲神楽の流れでは島根県鹿足郡津和野町の旧日原町の柳神楽に1506年(永正3)の鬼面があり,高千穂神楽では高千穂神社に1662年(寛文2)の鬼面が保存されているが,多くは近世に能,狂言,あるいはその先行芸能である猿楽,田楽などの仮面の影響下に製作されたものである。柳神楽の鬼面も猿楽などの仮面の転用かもしれない。品川神社(東京)の里神楽の仮面の中には舞楽面の二ノ舞面が混入したりしている。仮面劇もしくは仮面舞踊としての神楽の成立から考えて,純粋な神楽面はまったく近世のもので,鬼神は追儺面(ついなめん)や能面の,女神は能面,狂言面の,獅子や天狗は行道面の亜流といえよう。ただし熱田神宮の踏歌や油日(あぶらひ)神社(滋賀)の稲講会など特殊な神事芸能をも神楽と考えれば,中世にさかのぼる仮面の存在も考えられる。
執筆者:田辺 三郎助
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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