神楽面(読み)カグラオモテ

デジタル大辞泉 「神楽面」の意味・読み・例文・類語

かぐら‐おもて【神楽面】

神楽を奏する人。また、その人の顔。
「酔ひ過ぎにたる―どもの、おのが顔をば知らで」〈・若菜下〉

かぐら‐めん【神楽面】

神楽2に使う仮面。男神面・女神面などのほかおかめひょっとこ天狗きつねなどがある。

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精選版 日本国語大辞典 「神楽面」の意味・読み・例文・類語

かぐら‐めん【神楽面】

  1. 〘 名詞 〙 神楽に使う仮面。素戔嗚尊日本武尊、天狗、おかめ、ひょっとこなどがある。
    1. [初出の実例]「おれがべっかっかうなら、おめへは神楽仮面(カグラメン)の汐吹だ」(出典西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文一一)

かぐら‐おもて【神楽面】

  1. 〘 名詞 〙 神楽を奏する人。一説に神楽を奏する人の面。
    1. [初出の実例]「酔ひ過ぎにたるかくらおもてども」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)

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改訂新版 世界大百科事典 「神楽面」の意味・わかりやすい解説

神楽面 (かぐらめん)

神楽といわれる神事芸能のうち,採物(とりもの)神楽や能神楽の系統に使用された仮面。出雲神楽の流れでは島根県鹿足郡津和野町の旧日原町の柳神楽に1506年(永正3)の鬼面があり,高千穂神楽では高千穂神社に1662年(寛文2)の鬼面が保存されているが,多くは近世に能,狂言,あるいはその先行芸能である猿楽田楽などの仮面の影響下に製作されたものである。柳神楽の鬼面も猿楽などの仮面の転用かもしれない。品川神社(東京)の里神楽の仮面の中には舞楽面の二ノ舞面が混入したりしている。仮面劇もしくは仮面舞踊としての神楽の成立から考えて,純粋な神楽面はまったく近世のもので,鬼神は追儺面(ついなめん)や能面の,女神は能面,狂言面の,獅子や天狗は行道面の亜流といえよう。ただし熱田神宮踏歌や油日(あぶらひ)神社(滋賀)の稲講会など特殊な神事芸能をも神楽と考えれば,中世にさかのぼる仮面の存在も考えられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神楽面」の意味・わかりやすい解説

神楽面
かぐらめん

神楽に用いられる面。宮中の御神楽では用いないが,地方に伝わる里神楽で使用する。鎮魂の儀式としての神楽では,舞人や採物を清める清めの舞や,湯立などを行うが,それには面を用いない。その後,神の降臨を仰ぎ行う余興の部分に,古猿楽の影響により面を用いた舞が行われる。面の種類は多様で,猿楽能面の影響を受けた翁面,女面,神面,鬼面などのほかに,その地域独自の面や大黒面,ひょっとこ面,おかめ面などの道化面,あるいは猿,狐などの動物面も用いられる。木製のほかに紙製のものもある。

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