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舞楽面 ぶがくめん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

舞楽面
ぶがくめん

舞楽に用いられる仮面。大きさは,後頭部までおおう伎楽面と,前面部だけの能面との中間のもので,顔面部だけにつける中型面。抜頭 (ばとう) ,還城楽 (げんじょうらく) ,陵王,胡飲酒 (こんじゅ) ,安摩 (あま) ,二ノ舞,採桑老 (さいしょうろう) ,散手 (さんじゅ) ,蘇莫者 (そまくしゃ) ,新鳥蘇 (しんとりそ) ,退走禿 (たいしょうとく) ,皇仁庭 (おうにんてい) ,綾切 (あやきり) ,胡徳楽崑崙八仙 (ころばせ) ,貴徳納曾利 (なそり) ,蘇利古地久など,中国大陸から渡来した舞楽曲に使われる。眼球の動くものや,吊顎 (つりあご) ・切顎 (きりあご) のものや,伎楽面に近い大きさのものもあり,大部分は木彫に彩色したものであるが,厚紙に絹を張って顔を描いたものもある。法隆寺,東大寺,春日大社などの古社寺には多くの古面を蔵している。

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百科事典マイペディアの解説

舞楽面【ぶがくめん】

舞楽に用いる面。小型で薄く,表情は,演劇用の面と違って非写実的に象徴化されている。顎(あご)や目の動く面もある。種類は多く,代表的なものに二ノ舞,陵王納曾利(なそり),地久,抜頭(ばとう),八仙(はっせん),貴徳,退宿徳,胡飲酒(こんじゅ),新鳥蘇(しんとりそ)などがある。
→関連項目仮面

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶがくめん【舞楽面】

舞楽に用いられる仮面の総称。現行の舞楽のなかで仮面が用いられているのは左舞の《陵王》《胡飲酒(こんじゆ)》《二ノ舞》《蘇莫者(そまくしや)》《採桑老(さいそうろう)》《散手(さんじゆ)》《還城楽(げんじようらく)》《抜頭(ばとう)》右舞で《新鳥蘇(しんとりそ)》《退宿徳(たいしゆくとく)》《貴徳(きとく)》《胡徳楽(ことくらく)》《崑崙八仙(ころばせ)》《納曾利(なそり)》《皇仁庭(おうにんてい)》《綾切(あやぎり)》《地久(ちきゆう)》等で,それぞれ曲目の名がそのまま仮面の名称に用いられている。

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大辞林 第三版の解説

ぶがくめん【舞楽面】

舞楽に使用する仮面。伎楽面より小形・薄手で、表情は象徴的。還城楽げんじようらく・陵王りようおう・抜頭ばとう・納曽利なそりなどに用いられる。また、「案摩あま」「蘇利古そりこ」には特殊な蔵面ぞうめんを用いる。 → 蔵面

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

舞楽面
ぶがくめん

舞楽に用いられる仮面。仮面を使用する舞楽曲はいずれも中国から伝えられたもので、日本の曲目には使われない。仮面を使う曲目には、陵王(りょうおう)、胡飲酒(こんじゅ)、二(に)ノ舞(まい)、扶桑老(さいそうろう)、散手(さんじゅ)、還城楽(げんじょうらく)、抜頭(ばとう)、蘇莫者(そまくしゃ)、新鳥蘇(しんとりそ)、退宿徳(たいそうとく)、貴徳(きとく)、胡徳楽(ことくらく)、崑崙八仙(こんろんはっせん)、納曽利(なそり)、皇仁庭(おうにんてい)、綾切(あやぎり)、地久(ちきゅう)などがあり、曲目の名がそのまま仮面の呼称になっている。これらのうちには、咲面(えみめん)(老爺(ろうや))と腫面(はれめん)(老婆)の2種を用いる『二ノ舞』、鼻高の瞋目(しんもく)面のほかに貴徳鯉口(こいぐち)や貴徳番子(ばんこ)を使用する『貴徳』、長鼻の面のほか胡徳楽勧杯(かんばい)、胡徳楽瓶子取(へいしとり)を用いる『胡徳楽』など、異なる形相の複数の仮面を使用する曲もある。また、『安摩(あま)』と『蘇利古(そりこ)』には、厚紙に目鼻などを図案化した蔵面(ぞうめん)(雑面)が用いられる。このような特殊な仮面としては、布に目鼻口を墨で描いた奈良時代の布作面(ふさくめん)や、平安時代の神幸の際に神人がつけた白布面が類例としてあげられる。
 現存する舞楽面には奈良時代のものが若干みられるが、平安時代なかばから鎌倉時代がその全盛期で、とくに平安時代、10~11世紀の法隆寺、東大寺、手向山(たむけやま)神社、12世紀の春日(かすが)大社、厳島(いつくしま)神社などの大社寺に伝存するものが、優れた作例としてあげられる。また、奈良時代の乾漆製を除けば、その他の現存作例はいずれも木製で、極彩色が施されている。なお、陵王、納曽利、胡徳楽などには動眼、吊(つ)り顎(あご)などの特殊な工作を施した例もある。また、平安から鎌倉時代の舞楽面の作家は文献や資料からみると、大部分が仏師となっていることが注目される。[金子啓明]
『西川杏太郎編『日本の美術62 舞楽面』(1971・至文堂)』

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世界大百科事典内の舞楽面の言及

【仮面】より

…それは仮面表現上,前者に写実性が強く,後者に象徴性が強いということを意味する。そして舞楽が8世紀にはいってきた諸外国の楽舞を日本的に整理・統合したものであり,その完成が9~10世紀ころとすれば,舞楽面の完成もそのころと考えられ,その表現には日本固有のものが認められるといえよう。これ以後舞楽は宮廷の儀式はもちろん,中央の社寺の祭礼,法会に必須のものとなり,全国的に普及して近世にいたり,舞楽面遺品も北は青森から南は宮崎まで,七十数ヵ所,500点を超える。…

※「舞楽面」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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