神舞(読み)カミマイ

デジタル大辞泉 「神舞」の意味・読み・例文・類語

かみ‐まい〔‐まひ〕【神舞】

能の舞事の一。男神が速いテンポでさっそうと舞い、笛を主に大鼓小鼓・太鼓がはやす。金剛喜多流の「絵馬」に限って女神が舞う。

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精選版 日本国語大辞典 「神舞」の意味・読み・例文・類語

かみ‐まい‥まひ【神舞】

  1. 〘 名詞 〙 能楽の舞の一つ。若い男体の神が速いテンポで、さっそうと気品たかく舞う。また、その舞。「高砂(たかさご)」「養老(ようろう)」などに見られる。金剛・喜多流の「絵馬」に限って女神が舞う。
    1. [初出の実例]「脇などの神舞、天女にかどのあるやうにまふなり」(出典:禅鳳伝書‐毛端私珍抄(16C前))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神舞」の意味・わかりやすい解説

神舞
かんまい

民俗芸能。(1)鹿児島県と旧薩摩(さつま)藩領の宮崎県西諸県(にしもろかた)郡地方に伝わる神楽(かぐら)。カンメともいう。神社の境内を舞庭として奉納される。岩戸開きを伴う出雲(いずも)神楽系統で、代表的な演目の一つ田の神(かみ)舞は神社のお田植祭や村の田の神講のなかでも単独に舞われる。明治以後急速に衰退し、現在は鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市入来(いりき)町大宮神社、伊佐(いさ)市菱刈川北(ひしかりかわきた)の湯之尾(ゆのお)神社など10余か所に伝存する。(2)山口県岩国市行波(ゆかば)から西の熊毛(くまげ)郡一帯に分布する荒神舞(こうじんまい)。7年目ごとの大祭に行われる行波の神舞は願舞(がんまい)ともいい、その中心となる八関(はっせき)の舞は、白装束の荒神が高い柱松に登り、一方の綱から降りてくる曲芸的な行事が残る。熊毛郡上関(かみのせき)町祝島(いわいじま)では5年目ごとの荒神舞に、国東(くにさき)半島の伊美別宮(いみわけみや)(大分県国東市)から神霊と神楽太夫(たゆう)を迎えて神舞33番を奉納する。

[渡辺伸夫]


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改訂新版 世界大百科事典 「神舞」の意味・わかりやすい解説

神舞 (かみまい)

能の用語。男体の神が明るく力強く舞う舞事。〈真ノ序ノ舞〉とともに脇能の代表的な舞事で,《高砂》《養老》《弓八幡(ゆみやわた)》《志賀》《御裳濯(みもすそ)》などの後ジテに用いられるが,このうち《高砂》《弓八幡》の2曲を〈真ノ神舞〉と称して別扱いする流派もある。笛・小鼓・大鼓・太鼓で奏し,笛のリズムは打楽器のリズムと合う。また,笛の地は〈呂・中・干・干ノ中〉と呼ばれる4句をくり返す。この舞事は,さわやかに淀みなく奏演されるので,呂中干(りよちゆうかん)の地をもつ舞事のなかではテンポが速いが,神舞のなかでも速度の差により,《養老》《志賀》《御裳濯》などのグループと,それより速いテンポの《高砂》《弓八幡》《淡路》などのグループに分けることができる。金春流の《淡路》や,替(かえ)の演出の《高砂》《養老》などはさらにテンポが速く,最も速度の速い舞事である〈急ノ舞〉となる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神舞」の意味・わかりやすい解説

神舞
かみまい

能の舞事の名称。笛,大鼓,小鼓,太鼓が囃すさわやかな神の舞で,『高砂』『養老』などの後シテ,若い男神の舞うもの。

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世界大百科事典(旧版)内の神舞の言及

【舞事】より

…能の舞事には,笛(能管)・小鼓・大鼓で奏する〈大小物(だいしようもの)〉と太鼓の入る〈太鼓物〉とがあるが,その両者を含めて,笛の基本の楽句である(じ)の種類によって分類されることが多い。すなわち,呂中干(りよちゆうかん)の地といわれる共用の地を用いる〈序ノ舞〉〈真(しん)ノ序ノ舞〉〈中ノ舞(ちゆうのまい)〉〈早舞(はやまい)〉〈男舞(おとこまい)〉〈神舞(かみまい)〉〈急ノ舞〉〈破ノ舞(はのまい)〉などと,それぞれが固有の地を用いる〈楽(がく)〉〈神楽(かぐら)〉〈羯鼓(かつこ)〉〈鷺乱(さぎみだれ)(《鷺》)〉〈猩々乱(《猩々》)〉〈獅子(《石橋(しやつきよう)》)〉〈乱拍子(《道成寺》)〉などの2種がある。〈序ノ舞〉は女体,老体などの役が物静かに舞うもので,《井筒》《江口》《定家》などの大小物と《小塩(おしお)》《羽衣》などの太鼓物がある。…

※「神舞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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