デジタル大辞泉
「神通」の意味・読み・例文・類語
じん‐ずう〔‐ヅウ〕【神通】
《「じんつう」とも》どんなことも自由自在になし得る、計り知れない不思議な働き・力。
「山に籠ってからは神変不思議、年を経るに従うて―自在じゃ」〈鏡花・高野聖〉
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じん‐ずう‥ヅウ【神通】
- 〘 名詞 〙 ( 後世「じんつう」とも ) 仏語。無礙(むげ)自在で超人的な不思議な力。また、そのはたらき。霊妙ではかり知れず、自由自在にどんな事をもなしうる働きや力。禅定などの修行によって得られるもので、天眼通・天耳通・他心通・宿命通・神足通の五神通、また、これに漏尽通を加えた六神通がある。じんずうりき。じんつうりき。じんずりき。神力。通力。
- [初出の実例]「菩薩見て、即ち神通を以て光が念ふ所を知り」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
- 「かの夫人(ぶにん)に心を移し、神通を失ふこともやあるべきと思しめされ」(出典:謡曲・一角仙人(1520頃))
- [その他の文献]〔観無量寿経〕
じん‐つう【神通】
- 〘 名詞 〙 =じんずう(神通)
- [初出の実例]「但し今宵に迫りし難大、救はんとしてお政に換り〈略〉お政はそのまま神通(ジンツウ)をもて、良人の傍へ往しめたり」(出典:人情本・清談若緑(19C中)四)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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神通
じんずう
仏教における奇跡(きせき)にあたる概念であり、宗教家のもつ自由自在な不思議な能力をいう。サンスクリット語のアビジュニャーabhij
āなどの訳語。古代インドでは、苦行(くぎょう)などにより宗教的に高い境地に達した修行者は超自然的な能力を現したという。仏教では禅定(ぜんじょう)、三昧(さんまい)により神通力を得るといい、六つの神通力(六神通、六通(ろくつう))を数える。仙人や苦行者ももつ神足(じんそく)、天眼(てんげん)、天耳(てんに)、他心智通(たしんちつう)(他人の考えていることを知る能力)、宿命智通(しゅくみょうちつう)(過去のできごとを知る能力)の五神通(五通(ごつう))と、仏や阿羅漢(あらかん)のみ得る漏尽通(ろじんつう)(煩悩(ぼんのう)をとり去ってもはや迷いのない智恵(ちえ))を加えた六通である。仏陀(ぶっだ)(釈迦(しゃか))は一般に五通を悟りに関係がないとして否認したが、仏陀観の発展に伴い、教化(きょうげ)のための方便として使用されるようになった。
[辛嶋静志]
『日本仏教学会編『仏教における神秘思想』(1975・平楽寺書店)』▽『原実著『古典インドの苦行』(1979・春秋社)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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