神階(読み)しんかい

精選版 日本国語大辞典 「神階」の意味・読み・例文・類語

しん‐かい【神階】

〘名〙 朝廷諸神に奉授した文位と勲等。文位には、四品(ほん)以上四階、正六位上一階、五位から正一位にいたるまで一四階、計一九階があり、勲等は一等から一二等までがあった。室町期以降は吉田家特権となり、宗源宣旨という形式で行なわれた。神位。かみこうぶり。
文徳実録‐嘉祥三年(850)一〇月辛亥「進山城国稲荷神階、授従四位上

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デジタル大辞泉 「神階」の意味・読み・例文・類語

しん‐かい【神階】

朝廷から神社祭神に奉った位階品位ほんいと位階と勲等とがあり、品位四品しほん以上四階、位階は正六位上以上の一五階、勲等は一二等があった。神位。

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改訂新版 世界大百科事典 「神階」の意味・わかりやすい解説

神階 (しんかい)

神社の祭神に奉った位階のこと。神位ともいう。令には規定はないが,品位(ほんい),位階,勲位の3種があり,品位は正史としては《続日本紀》に749年(天平勝宝1)12月東大寺大仏建立の功により,宇佐八幡大神に一品,比咩(ひめ)神に二品を奉ったとあるのが初めで,四品以上4階ある。位階は,同書766年(天平神護2)に伊予国の伊曾乃神など4神に奉ったとあるもの,勲位は同書771年(宝亀2)10月,越前国の劔神に食封,田をあてた条に従四位下勲六等とあるのが初見。五位以上14階,正六位上1階の計15階の位階,一等より十二等までの勲位があった。この制の起源は不詳であるが,8世紀以降にみられ,ことに《文徳天皇実録》《日本三代実録》のなかに祈願報賽,遷都行幸即位,その他の機会に進階された例が多くみられる。ただ,伊勢の神宮に対して神階を奉られたことのないのは,特別格とされていたためとみられる。これら神社の祭神に位階を奉る理由について,崇敬の念によるのみならず,その位階にともなう位田を寄付する目的があってのこととみる説が,近世以降一般となっているが,定かではない。また,中世以降,〈宗源宣旨(そうげんせんじ)〉と称し卜部吉田家で各社祭神に位階を授け,神祇伯白川家よりも同様に授けているが,これは古代の制とはまったく別の性格のものである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神階」の意味・わかりやすい解説

神階
しんかい

神々に授けた位階。神位ともいう。王臣の位階と同じ表記をするが、位田(いでん)はほとんど付与されていない。神階は品位(ほんい)、位階、勲位(くんい)の別があり、品位は四品(しほん)から一品(いっぽん)に至る四階、位階は正六位上から正一位に至る15階、勲位は勲十二等から勲一等に至る12階に分けられ、特別の祈願・効験あるごとに授けられた。746年(天平18)宇佐(うさ)(大分県宇佐市)の八幡(はちまん)大神に三位(さんみ)を授け、749年(天平勝宝1)同神に一品、比売(ひめ)神に二品を授けた例を初見とする。勲位は771年(宝亀2)越前(えちぜん)国(福井県)の剣神(つるぎのかみ)に勲五等を授けたのが早い例である。平安初期には盛んに神階叙位が行われたが、鎌倉初期にほとんどの神々が正一位まで昇叙(しょうじょ)し、その制度の実効は失われていった。中世末期からは吉田神道(しんとう)を創唱した吉田家の扱うところとなり、宗源宣旨(そうげんせんじ)と称する私文書の証状が発行された。

[岡田荘司]

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