日本文徳天皇実録
にほんもんとくてんのうじつろく
『文徳実録』ともいう。勅撰(ちょくせん)の歴史書。10巻。六国史(りっこくし)の一つ。850年(嘉祥3)より858年(天安2)まで文徳天皇(在位850~858)一代の歴史の編年体の実録。藤原基経(もとつね)らが、871年(貞観13)に、清和(せいわ)天皇(在位858~876)の勅により撰集を開始したが、一時中止された。しかし、878年(元慶2)陽成(ようぜい)天皇(在位876~884)の勅により再開、翌年完成した。本書は、以前の史書に比べて、薨卒(こうそつ)伝が豊富になった。このことは、律令(りつりょう)体制の解体期に、古代国家再編に努めた人たちの伝記によって、当代と将来の範としたものと考えられる。『国史大系』所収。
[林 幹彌]
『坂本太郎著『六国史』(1970・吉川弘文館)』
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日本文徳天皇実録
にほんもんとくてんのうじつろく
文徳天皇一代の編年史。六国史の一つ。 10巻。嘉祥3 (850) ~天安2 (858) 年までを扱う。貞観 13 (871) 年藤原基経らに命じて編纂させ,のち基経,菅原是善,都良香,島田良臣らによって続行され,元慶3 (879) 年完成。特徴は,政治,法制に関するものが極端に省かれ,人物の伝記が豊富である。したがって五位の位階の者の伝記まで載せられ,死去を書かれた人物で伝記を載せていない例はわずか1件。『国史大系』所収。
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精選版 日本国語大辞典
「日本文徳天皇実録」の意味・読み・例文・類語
にほんもんとくてんのうじつろく ニホンモントクテンワウジツロク【日本文徳天皇実録】
官撰の史書で、六
国史の第五。一〇巻。藤原基経・菅原是善・都良香らの撰。
清和天皇の勅により貞観一三年(
八七一)編修開始、
中絶の後、
陽成天皇の勅により再開、元慶三年(
八七九)成立。嘉祥三年(
八五〇)の
践祚から天安二年(
八五八)の
崩御に至る間の文徳天皇の
治世を漢文・編年体で
記述。文徳実録。
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「日本文徳天皇実録」の意味・わかりやすい解説
日本文徳天皇実録【にほんもんとくてんのうじつろく】
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日本文徳天皇実録
にほんもんとくてんのうじつろく
平安前期の歴史書。六国史の第5番目
略称『文徳実録』。879年完成。10巻。清和天皇の勅命により藤原基経らが編纂した。『続日本後紀』につぎ,文徳天皇1代850年より858年までの編年体の史書。
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「日本文徳天皇実録」の意味・わかりやすい解説
にほんもんとくてんのうじつろく【日本文徳天皇実録】
日本古代の官撰の史書。略して《文徳実録》ともいう。六国史の第5。10巻。[文徳天皇]代,850年(嘉祥3)から858年(天安2)まで9年間のことを記す。清和天皇の命をうけて藤原基経らが編纂にあたり,陽成天皇の879年(元慶3)完成。実録は中国で皇帝1代ごとに,起居注をもとにその治世を記し,歴史編纂の材料としたもの。日本ではここで初めて実録の称を用いたが,以前の国史と体例の上でとくに大きな変化はない。《新訂増補国史大系》所収。
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「日本文徳天皇実録」の意味・読み・例文・類語
にほんもんとくてんのうじつろく〔ニホンモントクテンワウジツロク〕【日本文徳天皇実録】
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