福井県嶺北の中央やや西寄りにある平野。越前平野ともいう。県下最大の平野で,県人口の6割近くが住む。全域が沈降性の低地をなし,そこへ九頭竜川と支流の足羽(あすわ)川,日野川が周辺の山地から土砂を運び込んで埋め立てた沖積平野で,南北約40km,東西の幅約10~15kmと南北に長く,地元では文珠山の狭隘(きようあい)部以南を武生(たけふ)盆地,九頭竜川以北を坂井平野,その中間を狭義の福井平野と通称する。武生盆地は越前中央山地と丹生(にゆう)山地の間にあり,南の南条山地より流入する日野川がおもに埋め立てた。盆地内に散在する多くの分離丘陵,出入りの複雑な山麓線や急に平たん地に移る山脚など沈降地形が明らかである。盆地床は最低部で標高10mであるが,下流に狭隘部があるため低湿である。南端の扇状地性堆積地に武生市,盆地中央を南北に連なる丘陵群のまわりの河岸段丘状台地に鯖江市が立地する。狭義の福井平野は主として足羽川が埋め立てたものである。足羽川は谷口に低い扇状地性堆積地をもつのみで,標高10m以下の低地が広く,北を九頭竜川の堆積地におさえられて低湿である。特に屈曲する支流荒川の流路は2大川間に埋め残された低湿地を示す。また,平野の南縁も足羽川の堆積地におさえられて排水不良である。中央に位置する福井市は足羽川北岸の自然堤防が発祥の地であった。坂井平野はおもに九頭竜川の埋立てによるが,鳴鹿(なるか)を谷口とする扇状地は緩傾斜で小さく,大部分は標高5m以下の低地で,西半部,特に西岸や竹田川流域は低湿である。平野に出てほぼ一線に西に向かう九頭竜川の現流路は基盤の傾斜によると思われるが,かつては谷口近くから北西方へ幾筋にも乱流したとみえ,低地の中に低い自然堤防が何条もあり,その上に集落が立地する。北を加越台地,西を三里浜砂丘にさえぎられ,河口が狭隘であるのが低湿性をいっそう強めている。沖積層の厚さは福井市付近で地下50~60m,坂井平野南部で100mをこすが,武生盆地では約10mにすぎず,1948年の福井地震のときに福井平野以北は90%以上,武生盆地は10%以下と家屋倒壊率の差となってあらわれた。
全域が豊かな早場米の水田地帯で,特に坂井平野は県下一の穀倉といわれる。しかし,冬の積雪と湿田(耕地改良で近年ほぼ乾田化された)のため米の単作地であり,冬季の余剰労働力が古くからさまざまな家内工業を生み,明治以後の機業や眼鏡枠工業発展の素地となった。
執筆者:島田 正彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
福井県中部の九頭竜(くずりゅう)川下流域の沖積平野。北部を坂井(さかい)平野と称することもある。また広義には越前(えちぜん)市、鯖江(さばえ)市のある武生(たけふ)盆地も含むが、一般には福井市以北をさすことが多い。成因的には陥没沈降の平野で、東方の越前中央山地とは剣ヶ岳(けんがだけ)断層、西方の丹生(にゅう)山地とは大安寺(だいあんじ)断層・西安居(にしあご)断層でくぎられ、北を加越(かえつ)台地、三里浜砂丘で限られ、南は足羽(あすわ)山、八幡(はちまん)山、兎越(うさごえ)山の小丘陵群で武生盆地と境している。平野の大部分は20メートル以下の低平な湿地で水田単作地帯。平野一帯は全国一の化学繊維織物地域でもある。
[木下昭三]
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