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日本画家。〈東の大観,西の栖鳳〉と並び称され,京都画壇の総帥として文展,帝展に君臨した。本名恒吉,はじめ棲鳳と号した。京都市中京区の料理屋に生まれ,14歳で土田英林の手ほどきを受けるが,17歳より円山四条派の幸野楳嶺(こうのばいれい)(1844-95)の門に入って画才を認められ,つねに師と行動を共にする。新古美術会,日本青年絵画共進会,日本絵画協会などに出品して名声をあげ,1889年京都府画学校出仕,99年には京都市立美術工芸学校の教諭に推された。1900年ヨーロッパへ遊学,各地を巡って翌年帰国,以後雅号を栖鳳と改める。円山四条派の画技の上にコロー,ターナーらに啓発されたセピア調の写生的作風による《獅子》やオランダの風景を描いた《古都の秋》を発表して,京都の新世代を代表する花形となった。07年文展開設とともに審査員となり,《雨霽(うせい)》(東京国立近代美術館),《あれ夕立に》(高島屋資料館)などの名作を発表して大家の位置を確立した。09年京都絵画専門学校教授,13年帝室技芸員,19年には帝国美術院会員にあげられ,37年第1回の文化勲章受章者となる。
初期には《鳥獣人物戯画》や雪舟の《山水画巻》の模写を残しているように,狩野派や大和絵,漢画などを広く研究し,その上に円山四条派の輪郭をとらずに描いてゆく〈つけたて〉による筆致を生かした表現を試みた。外遊後は洋風の空気や光の表現をとり入れ,前述の作品のほか《河口》《鯖》などを描いている。昭和期に入ると簡略化された形態の中に動植物の機微をつかんだ筆致はますます冴え,《斑猫》(重要文化財,山種美術館)や《蛙と蜻蛉》《鹿》などがある。また水郷の風景を愛し,中国蘇州に取材した《城外薫風》や潮来に取材した《潮来小暑》などがある。極度に簡略化された,かるみを重んじる画態は,日本画の筆さばきの極点を示すもので,鏑木清方は栖鳳を〈最後の名人〉と賞している。なお京都画壇の指導者として,青甲社を主宰した西山翠嶂(1879-1958),土田麦僊,小野竹喬,上村松園,徳岡神泉,山口華楊ら数多くの俊秀を育てた功績も大きい。
執筆者:佐々木 直比古
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明治〜昭和期の日本画家
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日本画家。京都に生まれる。土田英林(えいりん)に学び、1881年(明治14)から四条派の幸野楳嶺(こうのばいれい)に師事して棲鳳(せいほう)と号する。翌年、第1回内国絵画共進会に『雁(がん)に双鶴(そうかく)』『瀑布(ばくふ)』が入選。84年には第2回内国絵画共進会に『山水』『花鳥』を出品して褒状を受け、以後、四条派の手法に古画風を交えた作品によって多くの共進会や内外の博覧会での受賞を重ねた。この間、83年から京都府画学校出仕、95年には京都市美術工芸学校教諭となる。1900年(明治33)から翌年にかけて渡欧。帰国後は号を栖鳳と改め、ターナーやコローの手法を摂取消化して清新な画風を開いた。07年に第1回文展の審査員となり、以後18年(大正7)まで歴任して、『アレ夕立に』『絵になる最初(はじめ)』などの代表作を出品している。13年に帝室技芸員、19年に帝国美術院会員となり、また09年から24年まで京都市立絵画専門学校教授を務めた。37年(昭和12)に第1回文化勲章を受ける。そのほかの代表作に『雨霽(うせい)』『斑猫(はんびょう)』などがあり、門下からは上村松園(うえむらしょうえん)、西村五雲、西山翠嶂(すいしょう)、土田麦僊(ばくせん)、小野竹喬(ちくきょう)、徳岡神泉(しんせん)らが輩出している。
[二階堂充]
『竹内逸解説『現代日本美術全集13 竹内栖鳳他』(1973・集英社)』
1864.11.22~1942.8.23
明治~昭和前期の日本画家。京都の料亭に生まれる。本名は恒吉。土田英林・幸野楳嶺(こうのばいれい)に師事し,20歳で京都府画学校に出仕する。1900年(明治33)ヨーロッパを巡遊,コローやターナーらに啓発され翌年帰国。鋭い筆致と写実的画風に高い技量を示す。画塾竹杖(ちくじょう)会や京都市立絵画専門学校で後進の指導にあたり,上村松園(しょうえん)・西村五雲ら多くの逸材を育てた。文展審査員・帝室技芸員・帝国美術院会員・芸術院会員。第1回文化勲章受章。京都画壇を代表する作家として「西の栖鳳,東の大観」といわれた。代表作「斑猫(はんびょう)」(重文)。
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