四条派(読み)シジョウハ

デジタル大辞泉 「四条派」の意味・読み・例文・類語

しじょう‐は〔シデウ‐〕【四条派】

日本画一派京都四条に住んだ松村月渓呉春)を祖とする。円山派写実性に南画の画風を加えた様式で、江戸後期から明治にかけて京都画壇の中心をなした。
時宗じしゅう十二派の一。他阿の弟子浄阿を祖とする。

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精選版 日本国語大辞典 「四条派」の意味・読み・例文・類語

しじょう‐はシデウ‥【四条派】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸後期に栄えた日本画の流派の一つ。創始者松村呉春(一七五二‐一八一一)や門下の多くが京都の四条に住んでいたところから呼ばれる。円山応挙の写実と南画の技法とをとり入れ、円山派にかわって上方画壇の中心的存在をなした。四条流
  3. 仏教の時宗十二派の一つ。他阿の弟子浄阿を祖とするもの。浄阿が京都四条道場金蓮寺に住したところから呼ばれる。

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百科事典マイペディア 「四条派」の意味・わかりやすい解説

四条派【しじょうは】

江戸時代後期に栄えた文人画派。始祖の呉春が京都四条通りに住んでいたので四条派と呼ばれた。呉春が兄事した円山応挙円山(まるやま)派と合わせて円山四条派とも呼ばれるが,南画風を加味して円山派より軽妙で洒脱(しゃだつ)味が濃い。明治時代の日本画復興運動にも大きな影響を与えた。同画派中,松村景文(けいぶん)〔1779-1843〕,岡本豊彦〔1773-1845〕らが名高い。
→関連項目上村松園歌川広重川合玉堂菊池契月幸野楳嶺榊原紫峰竹内栖鳳寺崎広業富田渓仙橋本関雪平福百穂森狙仙山口華楊

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「四条派」の意味・わかりやすい解説

四条派
しじょうは

江戸後期に栄えた画派。創始者松村月渓(げっけい)すなわち呉春(ごしゅん)(1752―1811)が、京都四条東洞院(ひがしのとういん)に住していたのでこの名がある。彼は、初め与謝蕪村(よさぶそん)に師事、のち円山応挙(まるやまおうきょ)の画風に強くひかれるが、最後は自らの様式を確立して四条派を創始する。南画の叙情的傾向と円山派の写生的・現実的表現とを総合したような作風で、円山派にかわって京都画壇の中心的勢力をなした。以後、異母弟の松村景文(けいぶん)、門人の岡本豊彦(とよひこ)らが続き、その伝統は明治時代の日本画壇にも影響を及ぼし、竹内栖鳳(せいほう)、幸野楳嶺(こうのばいれい)らを輩出している。

[村重 寧]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「四条派」の解説

四条派
しじょうは

円山応挙に学んだ呉春(ごしゅん)を始祖とする江戸時代の画派。広義には円山派と同系だが,画体・画派の性格が異なるので独立させて四条派とよぶ。その名は呉春および松村景文(けいぶん)・岡本豊彦ら多くの門弟が,京都四条近くに住んだことに由来する。応挙の写生画の客観的描写に文人画の洒脱味を加えた画風で,大衆に支持された。呉春以後も画派の隆盛は続き,豊彦門下の塩川文麟(ぶんりん)・幸野楳嶺(ばいれい)・竹内栖鳳(せいほう)らは,明治期の京都画壇で大いに活躍した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「四条派」の解説

四条派
しじょうは

江戸後期に創始された日本画の流派
開祖の呉春(松村月溪)が京都四条通りに住んでいたのでこの名がある。呉春は円山応挙に学んだが,応挙の死後,円山派より叙情的な四条派を開き,京都画壇の主流を占め,系譜は現代まで続く。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四条派」の意味・わかりやすい解説

四条派
しじょうは

円山四条派」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の四条派の言及

【呉春】より

…江戸中期の画家。四条派の創始者。本姓は松村,通称は文蔵,初名は豊昌,字は允白,伯望。…

【円山四条派】より

…江戸中期に興った絵画の流派。円山応挙が開いた円山派と呉春が興した四条派の総称。18世紀中ごろ狩野派土佐派をはじめとする伝統的画派は形式化に陥り,また琳派は尾形光琳のあと卓越した画家に恵まれず,創造性を枯渇させていた。…

※「四条派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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